内視鏡トップのオリンパス「1兆円戦略」の全貌、前社長の薬物騒動でソニーとの蜜月関係はどうなる?2019年1月、社長就任会見に臨む竹内康雄副社長(写真右、肩書は当時)。23年に会長に退いたが、シュテファン・カウフマン前社長の薬物騒動により、再びCEO職を担うことになった Photo:kyodonews

兼業が多い国内医療機器メーカーの中で、専業に変身を遂げたオリンパスは異色の存在だ。実はオリンパスの成長には、“兄弟会社”のテルモや、かつてのライバルであるソニーが大きく関わっている。特集『医療機器 21兆円への挑戦』の#3では、内視鏡グローバルトップメーカーに上り詰めたオリンパスの「1兆円戦略」の全貌を明らかにする。前社長の薬物騒動はどう影響するのだろうか。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

顕微鏡やカメラを手掛けていたオリンパス
医療機器“専業”メーカーに変身

 日本の医療機器メーカーは、他に収益の柱がある“兼業”が多いのが特徴だ(日本の医療機器業界の構図については、本特集の#1『日立・東芝・パナは撤退、ソニーはオリンパスとタッグを組むも多難…医療機器業界「最新勢力図」を大公開!見えた日本勢の勝ち筋とは?』参照)。そんな中、兼業から専業への変身を遂げているのがオリンパスだ。

 オリンパスはかつて不正会計問題で存亡の危機にひんしたが、ソニーが救いの手を差し伸べたこともあり、今では内視鏡のグローバルトップメーカーとして日本の医療機器業界をけん引している。得意としている消化器内視鏡では、世界トップシェアを誇る。顕微鏡やカメラなど、歴史ある事業を次々と手放してきたにもかかわらず、年間売上高1兆円をうかがうほどの成長を遂げているのだ。

 欧米が強いといわれる医療機器業界にあって、オリンパスはいかにして成長を遂げてきたのか。詳細は後述するが、それにはオリンパスとルーツを同じくするテルモや、かつてカメラで競合したソニーが深く関わっているのだ。

 次ページでは、オリンパスの苦難の歴史をひもときながら、「1兆円戦略」の全貌を明らかにする。前社長の薬物騒動の影響の深刻度にも迫る。