「僕にできることは誰でもできるはずだ。ムリと思ってるからできないんだ!キミは何のためにパリに来たの?『できる』ということを日本人に伝えるためじゃないのか!!」
その通りだ。目が覚めた僕は、帰国後も彼のスゴいビデオを学会で発表して、「どう『できる』か」を根気強く示していこうと心に決めた。
海外にも轟いていた
幕内雅敏の教え
「学会は自分自身の手術や研究で勝負する」という自我が芽生えていた当時の僕には葛藤もあったが、1年間限定で開き直った。
「あいつの発表は盗撮ビデオだ」と笑う者もいたらしいが、鈍感力を貫いた。ガイエ先生も応援しているのだ。盗撮ではなく、むしろ僕たちカップルからの愛ある発信である。
現在、日本の内視鏡肝切除、膵切除は「イエス、ウィー・キャン!」と胸を張れるレベルにある。その進化の歴史に、パリの手術ビデオが一滴でも貢献できたのなら、シャンパンで乾杯したいほど嬉しい。
ガイエ教授は肝胆膵だけでなく、食道から肛門まですべての消化器手術を、完璧な解剖の理解に基づいて内視鏡で行うことができた。なぜなら、彼は外科でプロフェッサーの称号を得る前は解剖学の教授だったからである。
ちなみに、彼の学位論文のテーマは「『幕内靱帯』の中に何本の血管が入っているか」だったとのこと。
幕内靱帯というのは、肝臓を下大静脈につなぎ止めている繊維のバンドである。「これを不用意に損傷すると大出血するから気をつけなさい」と幕内雅敏先生が口酸っぱく言い続けてきたので、海外でも「MAKUUCHI ligament」として知られている。
もっと言えば、青年ガイエは日本に短期留学し、当時国立がんセンターにいた「ナマ幕内」の手術を背中越しに見ているのだ!やはり、巨匠と巨人は、見えない糸で結ばれている。
8時間かかる作業を
3時間で終わらせランチへ
フレンチ・キスは、「チュッ」という軽い接吻とは逆のヤツを本来指すらしいが、ガイエ先生はよく「フレンチ・タッチ」という言葉を使っていた。







