新築工事の2件に1件で不備
構造部に潜む施工リスク

 しかしながら、設計と現場にズレが生じるリスクは今も残っているのが現状だ。さくら事務所が2025年に実施した、新築工事中のホームインスペクション(360件)では、耐震に関わる構造部分の平均不具合指摘率が50.2%であった。およそ2件に1件の現場で、金物や筋交い(すじかい)の取り付けなどに何らかの指摘事項が見つかっている計算になる。背景には、慢性的な人手不足で現場に十分な目が行き届きにくいという構造的な問題も存在する。

 ただ念のため補足すると、かつてはこの指摘率が7~8割に達していた時期もあり、現場の意識向上によって数字は着実に改善されてきた。とはいえ、2件に1件という水準である以上、設計が想定した耐震性能が施工段階で損なわれている可能性は、依然として大きな課題ともなっている。

住宅の耐震を左右する
3つのポイントとは

 では、こうした現実を踏まえて、私たちは何に目を向ければよいのか。「耐震等級」や「新耐震」といったラベルだけで安心はできない。地盤・設計・施工品質の3つを、バラバラにではなく一つのつながりとして見る目を持つこと。それが、これからの住宅耐震の出発点になる。

【ポイント(1)地盤】
 熊本地震で地盤変状や揺れの増幅が倒壊の直接原因となったことは先に述べた通りだ。ただ、住宅建築で一般的に行われる「地盤調査」は、建物の重みで地面が沈まないかを確かめるためのものであり、地震時にどれだけ揺れやすいかを調べる調査とは目的が異なる、ということは意外に知られていない。

 地盤改良や杭打ちも、建物が自重で沈み込むのを防ぐための措置であり、揺れへの備えとイコールではない。土地選びの段階から、国土地理院の地図(地理院地図)や揺れやすさマップなどで地盤の特性を調べておくことが、住まいの安全を足元から支える第一歩になる。