【ポイント(2)設計・性能】
2点目は建物のスペックにあたる部分だ。先ほどのデータでも、2000年基準以降の住宅は被害率が格段に低く、性能向上が命を守る効果は明らかであった。住宅会社を選ぶ際にぜひ確かめていただきたいのは、構造の計算をどこまで行っているかである。
実は計算には簡易的な方法と、より詳細に行う方法がある。後者をしっかり実施している会社は品質管理の意識が総じて高く、現場のチェック体制にもその姿勢が表れていることが多い。加えて、小規模な木造住宅の構造審査を簡略化できた「4号特例」が近年縮小され、設計段階のチェックは以前より厳しくなっている。制度面の安全網も着実に整いつつある。
【ポイント(3)施工品質】
ここまで繰り返しお伝えしてきた通り、どれほど優れた設計図があっても、現場で金物や接合部を正しく取り付けなければ、想定した耐震性能は発揮されない。有効な手段の一つが、ホームインスペクターなど第三者による工事中のチェックである。
ただ、日々検査の現場に立つ私たちの実感として、第三者チェックの本当の価値は不具合の指摘そのものだけにあるのではない。「専門家の目が入る」という事実が現場に適度な緊張感を生み、施工者自らが作業を見直すきっかけになる。私たちが検査に入る前に、すでに是正が済んでいるケースは珍しくない。指摘がゼロの現場にこそ、第三者チェックの本当の成果が表れていると考えている。
“基準適合”で終わらせない
地盤・設計・施工の総合力で備える
住宅の耐震は建物のスペックだけでは完結しない。足元の地盤、設計が確保する性能、そして、現場で設計通りに仕上げる施工品質。この3つが揃って初めて、住まいは本当の意味で地震への備えを持つことになる。
地盤・設計・施工品質。この3つを一体で意識するだけでも、住まいの選び方は確実に変わっていく。「基準に適合しているか」だけでなく、「その性能が現場で本当に実現されているか」まで目を向けること。判断に迷う場面があれば、信頼できる専門家の力を借りるのも一つの選択肢だろう。
熊本地震から10年。あの震災では多くの方が被害を受けた。その教訓は、これからの住まい選びを支える確かな指針になるはずだ。
(株式会社さくら事務所創業者・不動産コンサルタント 長嶋 修)
さくら事務所公式サイト
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