仕事が軌道に乗ったら
SNSを卒業するのが理想

 何も持っていない駆けだしのフリーランスにとっては、SNSのメリットは大きいだろう。しかし仕事がうまくいくようになると、そのメリットはだんだんと小さなものになってきて、やがてデメリットが上まわってしまう。

 それに、SNSを仕事で使うこと自体がけっこう疲れるのだ。

 いくら「がんばらないようにする」なんていっても、SNSに長いこと触れていると、精神がだんだんとすり減ってくる。

 仕事がうまくいくようになったら、仕事とSNSをできるだけ切り離していくといいのではないだろうか。つまり、SNSからの卒業だ。

 僕の知り合いのインフルエンサーが、会社をつくり社長になった。社長といってもいろいろなタイプがいるが、その人は、経営者としてしっかりと裏方の働きをしている。会社の規模はどんどん大きくなっているので、その方針は成功しているのだろう。

 それとは別に、SNSで活躍している作家がいたのだが、ある日突然「SNSはなんだか疲れちゃうのでやめます」と投稿して、アカウントを削除してしまった。アカウントは消えたものの作家としての活動は続いていて、新刊は出版され続けている。

 うまいことSNSを卒業できた人たちだ。いいなあ。ほかにもこういう人たちを何人か知っているが、成功者の定番の流れになってきているように思う。

 なぜ僕はSNSを卒業できないのだろう。

 僕のフリーランス活動の始まりはウェブライターだった。始めて半年後くらいに、一風変わった上野のコーヒー屋さんの取材をして記事を書いた。

 その記事がものすごく読まれた。2009年のことで、Twitterは黎明(れいめい)期、Instagramはまだなく、記事は「はてなブックマーク」や個人ニュースサイトを中心に拡散された。「バズ」なんて言葉はなかったが、あれは早すぎたバズだった。

 店の前には長蛇の列ができていたという。後日訪れてみたら、店主が「こんなことは初めてですよ」と、にこやかに感謝をしてくれた。

 僕はその手応えを糧にSNSでバズる記事をいくつも書いて、ウェブライターの仕事を広げていった。つまり、駆けだしのころにSNSのメリットを享受したために、自分のなかでのインパクトが大きかったのだ。

 今もSNSのメリットの思い出に引きずられ、デメリットを引き受け続けている状態といえる。読者のみなさんにおいては、できるだけ早めに卒業したほうがいいですよ……と伝えておきたい。