
NTTグループの再編が最終段階に入った。2020年のNTTドコモの完全子会社化から4年余りで、ついにNTTデータグループの完全子会社化に乗り出した。1985年の民営化後、分割・再編成を強いられたNTTは、澤田純会長が敷いた再統合の路線を島田明社長が完成させようとしている。特集『巨人復権 大NTTの野心』の#1では、独立心の強いNTTデータがNTTの完全子会社化に追い込まれるまでの舞台裏を明かす。さらに、グループ再編の「完成形」に向けた次なる一手を大予想する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
独立心強いNTTデータグループの
“外堀”と“内堀”が埋まる舞台裏
NTTによるNTTデータグループ(G)の完全子会社化は、激しい神経戦を経て実現した。
NTTの島田明社長によると、データGを完全子会社化する検討を始めたのは2024年9月で、データGの佐々木裕社長に打診したのは同年11月という。だが、実際にNTTが内部で動き始めたのは18年にさかのぼる。
18年6月にNTT社長に就任した澤田純・現会長は、すでにこの頃には水面下でNTTデータ(現データG)に完全子会社化の打診をしていた。グループ内に分散していた海外事業を再編・統合してグローバル事業の競争力を強化するため、当時からNTTデータは中核的な存在になるとみていたからだ。
澤田氏がNTTドコモの完全子会社化を決めたのは20年9月だが、NTTの幹部によると「むしろドコモよりNTTデータの完全子会社化の検討の方が早かった」のが実態だという。しかし、NTTの民営化直後の88年に分社し、グループへの帰属意識の薄かったNTTデータ側の反発は強く、一度は検討が見送られている。
では、22年6月に澤田氏の後を継いで社長になった島田氏は、どのようにデータGの完全子会社化を成し遂げたのか。
次ページでは、その詳細な舞台裏を明らかにする。さらに、NTTグループ再編の完成に向けては残された課題も浮上しており、次なる一手を大胆に予測する。