インドとブラジルへ。C3の「先兵」としての顔
F:シトロエンは新興国でも売るのですか?
中:もちろんです。インドとブラジルが中心になりますが、東南アジアでも展開している国があります。
中山領さん Photo by A.T.
F:新興国にシトロエン。ちょっと意外な組み合わせです。C3はそのままの形で持っていくのですか?
中:いえ。欧州仕様をそのまま持っていくことはありません。
「C3」という名前とデザインの流れを使いながら、プラットフォームや中身は製造コストと各市場の事情を反映した"別仕立て"になっています。つまりC3というひとつのクルマの中に、「欧州の主力車」と「新興国市場を開拓する戦略車」という2つの顔があるということです。
F:単に償却の済んだ古いモデルを安く売るのではなく。
中:ではなく。もちろんコストを意識した設計ではありますが、単純な「お下がり」ではありません。その市場のために、しっかりと考え直した部分がちゃんとあるということです。ですからC3は、シトロエンというブランドが世界の様々な市場でどう戦っていくか、その最前線に立つクルマでもあるんです。
揺らぐスズキ、変わるインド市場
F:インドは厳しそうですね。かつては市場の5割以上を占めていた「王者」スズキの地位が揺らいでいる。ロイターは昨年10月にスズキのシェアが4割を切ってしまったと報道しています。しかも市場の主役が"小さい安いクルマ"から"機能の多いSUV"へ移ってきている。決してラクな市場ではなさそうです。
中:そうですね。過渡期というか、勢力図が変わりつつある市場だと思っています。
これまで盤石に見えていた構図が、必ずしもそうではなくなっている。価格競争も厳しい。各社とも従来のやり方だけでは難しい局面に入っている感があります。そういう意味でも、C3のようなモデルをどういう形で出していくかが重要です。単にクルマを1台売るという話ではなくて、ブランドがその市場でどう"居場所"をつくっていくか、という話になりますよね。
F:するとC3は、ヨーロッパ市場においてはシトロエンの「本丸」であり、新興市場へ出ていくときは「先兵」としての役割がある。そんな感じでしょうか。
中:その通りです。C3は重責を担うモデルです。生活に近いクルマでありながら、ブランドの理念も背負い、しかも市場拡大の役割まで果たしている。シトロエンが、昔ながらの前衛性だけで勝負するのではなく、もっと広いお客様に向けてどう自分たちを表現するか。その答えが、いちばんわかりやすく出ているのがC3だと思います。







