サラリーマンでありながら海外の映画祭で日本人初のグランプリを受賞した長久允氏。その思考法を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売から話題となっている。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛する同書から、抜粋・再構成して特別公開する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

脚本の教室Photo: Adobe Stock

30代から40代で陥る現象

「自分にしかできない企画を出したい」
「型にはまった仕事はしたくない」

 30代から40代、中堅としての自負が芽生える企画職ほど、こうした気持ちが高まるものです。

 しかし、本人が盛り上がっていても、アウトプットがあまり振るわない、わかりづらい、という空回りも起こりがち。

 なぜ、このギャップが生まれるのでしょうか。

「型破り」には「基本を知る」ことが必要

 この現象に苦しむ人が見落としているのは、「オリジナリティは『基本』の習得の先にある」という原理かもしれません。

 現に、映画監督として独自の道を歩んでいるように見える私も、単に型破りなだけではありません。

 私の作り方は、王道の脚本方式と完全自己流の脚本方式をミックスしたもの。

 特にオリジナル脚本の場合は、ゼロからアイデアを立ち上げたあとに、2つのメソッドを行ったり来たりしながらブラッシュアップし、完成稿まで書き上げます。

 迷ったときにはハリウッド式脚本術に立ち返り、基礎との距離を確認する作業をしているのです。

 私は自分の怒りや悲しみといった感情をもとに作るので、「王道はいらないのではないか」「好き勝手やっているのではないか」という声が聞こえてきそうですが、型破りに作るためにも、そのためには基本の型を知っておくべし、ということです。

 基本はやっぱりためにはなりますし、一度やってみて損はないです。

シーンカード入れ替え検証

 その中で、脚本以外のクリエイティブにも通じるやり方をひとつ、ご紹介します。

 たとえば、私は物語の中のシーンをまず、小さな紙に手書きで書いていきます。大きめの付箋でもいいです。

 私はこれを「シーンカード」と呼んでいます。

脚本の教室『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』(ダイヤモンド社)p101より

 これらを作ったら、カードを自由に入れ替えてみましょう。物語としてベストな流れを探っていくのです。

 すると、いろいろ検証してみるうちに、使わないシーンが出てくることもあります。

 物語として正しいかはフォーカスするテーマ次第だと思いますが、このような流れのほうがドライブ感が出る可能性もあるな、などさまざまなパターンで検証をしていくことで、シーンの並びを確定させるわけです。

 これを冒頭から最後まで並べたあとに、一つひとつのシーンの中身、セリフやト書きを書いていく、というのが王道の作り方。

 これを知っておくだけで、行き詰まったときやストーリーの整理にとても役立ちます。