カフェイン摂取よりも効果的だった
シンプルな方法

 すると、階段昇降を行ったグループは、記憶力・集中力・モチベーションのすべてが向上し、カフェイン摂取や偽薬では明確な変化が見られませんでした。

 つまり、「動く」ことこそが、もっともパフォーマンスが上がる方法だったのです。

 ただカフェインを摂るだけでは血流は変わりませんが、軽い運動をすることで全身の血液が循環し、酸素が脳へ行き渡ります。それが脳を目覚めさせ、集中力を高めるのです。

 また、イースト・ロンドン大学のエドモンズらは、被験者を2つのグループに分け、片方には約500ミリリットルの水を飲ませてから、もう片方には何も飲ませずに知的作業を行わせました。すると、水を飲んだグループは、注意力と判断力が明らかに高まりました。

 軽い運動と水分補給の組み合わせが、集中力アップにもっとも効果的なのです。

 作業前に、階段を上り、息が少し上がるくらいの状態で水を一杯飲む。たったそれだけで、頭がスッキリして、作業の入りが驚くほどスムーズになります。

座りっぱなしで仕事をすると
かえって集中力が低下する

 さらに、イリノイ大学シカゴ校のサラスらの研究では、散歩にも同様の効果があることがわかっています。被験者を「歩くグループ」と「座って風景を眺めるグループ」に分け、それぞれに言葉の記憶テストを行ったところ、歩いたグループのほうが成績が高く、集中力の持続時間も長かったのです。

 座りっぱなしで仕事をしていると、集中力が下がります。それよりも、時々は体を軽く動かすことで、集中力が増し、脳もよく働きます。

「時間がない」という人ほど、眠気に襲われたときや集中力の低下を感じたときは、思いきって立ち上がり、10分程度でかまいませんから、階段の上り下りや散歩をし、水分を摂ってください。

 その10分が、集中力とひらめきを取り戻す鍵になります。

【今回の学び】
・眠気に襲われ、集中力が低下したときは、歯磨きをし、冷たいタオルで顔を拭こう。すぐに目が覚め、集中力が回復する。
・体を動かし、水分を摂ることで、頭がスッキリし、集中力がアップする。
【参考文献】
・左達秀敏, 村上義徳, 外村学, 矢田幸博, 下山一郎. (2010). 「歯磨き行為の積極的休息への応用
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・廣瀬文子, 長坂彰彦. (2006).「 短時間休憩後の覚醒度上昇方法に関する実験的検討」. 電力中央
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・Randolph, D. D., & O'Connor, P. J. (2017). Stair walking is more energizing than low dose caffeine in sleep deprived young women. Physiology & Behavior, 174, 128-135.
・Edmonds, C. J., Crombie, R., & Gardner, M. R. (2013). Subjective thirst moderates changes in speed of responding associated with water consumption. Frontiers in human neuroscience, 7,363.
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