慣例やルールは眼中なし、自民党関係者が懸念する、高市首相の“驚きの働き方”石油備蓄の放出などに関して記者団の取材を終え、引き揚げる首相の高市早苗(中央)=3月11日、首相公邸 Photo:JIJI

 衆院選挙で圧勝して向かうところ敵なしに見えた首相の高市早苗が「参院の壁」にぶち当たった。高市がこだわり続けた来年度予算の年度内成立は実現せず、暫定予算の編成に追い込まれたからだ。もともと高市が通常国会冒頭に衆院解散に踏み切った時点で、3月末の年度内に成立を目指したこと自体が無理筋だった。まさしく自らまいた種。しかし、高市は聞く耳を持たずに年度内成立に突き進んだ。

 衆院段階で予算委員長の坂本哲志が乱発した委員長職権はなんと計16回。与党の日本維新の会の幹部は「職権委員長」と皮肉った。高市の言いなりだったからだ。予算案は3月13日に衆院をスピード通過。憲法上の規定に従えば4月11日には自然成立する。何も今さら慌てる必要はないが、なぜか高市は「年度内成立」にしがみ付く。この強引な姿勢が、「良識の府」としての自負と誇りを与野党の議員が共有する参院側を硬化させた。

「参院側は誰も選挙で高市さんの世話になっていない。そこを忘れてもらっては困るんだ」(参院自民党幹部)

 しかも参院は今も自民と維新の与党が過半数に達していない少数与党。参院予算委員会を構成する与野党の議員数は22対22の同数。予算案以外の重要法案の審議への影響を考えたら無理は禁物というのが自民党の参院執行部の基本方針だ。結局は暫定予算の編成に追い込まれたが、高市はついに方針転換を口にすることがなかった。自民党幹部は「アナウンスなき自然成立」と表現した。