原油、アルミ、ナフサ、尿素…供給難が深刻
商船三井の船舶通過は特殊なケース

 イラン戦争がどう展開するかは読みづらい状況が続いている。トランプ米大統領は3月末、「われわれは間もなく撤退する」と述べた。ところが翌日には一転して「激しい打撃を加える」と発言。いつ、戦争を終わらせるか明示しなかった。一方のイランは4月3日、米軍のF35戦闘機を撃墜したと発表し、徹底抗戦する構えを崩していない。

 そうした状況下、世界経済には深刻な影響が及んでいる。原油、液化天然ガス、アルミニウム、代表的な石油化学製品であるナフサ、肥料の原料である尿素をはじめ供給制約は深刻化している。

 アルミニウムに関しては今現在、中国の自動車業界でさえ影響を免れないようだ。エミレーツ、バーレーン、カタールのアルミニウム生産力低下で、世界の供給が混乱し、懸念が高まっている。

 尿素の不足も深刻だ。ペルシャ湾岸諸国にエジプトなどを加えた中東全体で、尿素供給の世界シェア50%近くを持つ。供給量が減少すれば価格は高騰する。ホルムズ海峡は実質的な封鎖が続いており、今後も物資の供給には大きな支障が出ることが予想される。

 ホルムズ海峡に関する朗報としては、商船三井系の船舶が通過したものの、これは今のところ特殊なケースとみられる。具体的には、イランが許可国に含めたインド、友好国であるオマーン企業が関与した船舶だったことが大きく影響したようだ。イランは、どの船舶を通過させるか戦術的に選択しているのだろう。

 尿素の供給が落ち込んだことで、肥料以外の分野にも打撃が及んでいる。例えば、ディーゼル車が排出する窒素酸化物(NOx)を、窒素と水に分解して浄化する尿素水(アドブルー)の不足である。インド、オーストラリア、欧州などではアドブルー不足が顕在化している。