まさに「似て非なるもの」だった。正方形の石を敷き詰めた駐車場で走り出した途端、「ローマとは別物である」と確信できた。進化幅は大きい。まず微速域での動的フィールからしてワイドスタンスに感じる。とくに前アシ。突っ張った印象はなく、ノーズが低く広がった感覚さえあった。ローマよりしなやかさが増し、自由に動く感覚が前面に出ている。乗り心地も断然よくなった。
結果、テストの日は朝から雨で路面はハーフウエットだったにもかかわらず、気にすることなくドライブできると自信を持てた。これは多くのユーザーにとってありがたい進化だと断言できる。
さほど道幅の広くないカントリーロードで躊躇なくペースを上げていく。V8ツインターボ(640cvs/760Nm)の力強さはいうまでもなく、それを路面へと伝えるまでの“スムースな俊烈”がたまらない。サウンドのボリュームこそ控えめながら音質は微に入り細にわたって整えられており、脳に軽く響き渡った。ずっと聴いていられるという点で爆音とは一線を画す。
そんな力と音に盛り立てられての操縦性はスポーツカーそのものだった。走る/曲がる/止まるがまさしく高次元でバランスしている。中でも最も感銘を受けたのがバイ・ワイヤシステムを採用したブレーキの制動フィール。これはもう以前のV8・FR系とは雲泥の差。ブレーキの踏み応えがよかったからこそ積極的なドライビングに自信が持てた。“減速の楽しさ”は優れたスポーツカーの必須条件だ。
アマルフィは同じV8・FRながらローマとは商品キャラクターがはっきりと違う。ローマはフェラーリに乗り慣れたカスタマーのための、“美しいけれど猛々しい跳ね馬”だった。対するアマルフィは、かつてのカリフォルニアがそうであったように、新たなユーザー向けの“力強くレンジの広い跳ね馬”であると確信した。
(CAR and DRIVER編集部 報告/九島辰也+西川 淳 写真/Ferrari)








