一方で、大企業はともかく、中小企業では顧問弁護士がいないことも少なくありません。中小企業向けの無料法律相談もあるのですが(*3)、中小企業側がこれらを積極的に利用しているケースは少なく、弁護士からの助言を受けた上で解雇をしているということは多くないと感じます。

 現に、私の事務所では解雇をした後に社員から不当解雇だと訴えられたがどうすればよいかという相談を相当数受けており、これらの会社が予め弁護士に相談したという形跡はありませんでした。

 社員側と会社側で、弁護士から助言を受ける、または弁護士をうまく活用するという点においても格差が生じていると感じます。

問題社員でも有利なのは社員側
甘く見ずに社員対応を行うべき

 もともと法律面で社員側が手厚く保護されているのに、インターネットやSNSでの情報収集も社員側は積極的に行っておりさらに社員側は弁護士の無料法律相談も使いこなしている等で、会社側は情報面でも劣位していることが多く、あらゆる面で社員側が有利な状況になっています(図2)。

図2 社員側と会社側の天秤同書より転載 拡大画像表示
『職場の問題社員に困ったら読む本』書影職場の問題社員に困ったら読む本』(上野俊夫、自由国民社)

「雇ってやった」、「今まで賃金を支払ってやった」等ということから会社側が強者だと勘違いして社員側を甘く見て問題社員対応を行うと、手痛いカウンターパンチを受けることになります。

 会社側は自身が法律面でも情報面でも弱者だという現実を知った上で問題社員対策をしていかないといけません。はっきり現実を言えば、会社は問題社員であっても簡単には辞めてもらえないので、「何とかして辞めていただく」、「辞めていただけたら本当にありがたい」という気持ちで臨むべきだと思います。

(*3)…日本弁護士連合会の「ひまわりホットダイヤル」では、中小企業が利用できる30分の無料法律相談を行っています。全国各地で弁護士の無料法律相談を受けることができます。