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ホルムズ海峡の緊張が続き、日本のエネルギー基盤が揺らぐ中、各国は移動抑制や公共交通への転換を急いでいる。一方、日本は補助金によるガソリン価格の抑制を優先している。だが、もし需要抑制へとかじを切れば、思わぬ形で全国に大きな混乱を招く可能性もある。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
IEAが提示した
10項目の需要抑制策
アメリカ、イスラエルのイラン攻撃から1カ月半が経過した。本稿執筆中の4月8日にアメリカとイランがホルムズ海峡の開放を条件に即時停戦に合意したと報じられたが、記事が公開される時点でどうなっているか、事態は流動的だ。
この戦争は、スイス・ジュネーブで核協議が行われている最中、首都テヘランで執務中の最高指導者ハメネイ師を爆殺するという「奇襲」で始まった。圧倒的な軍事力でイランの政府・軍首脳を次々と殺害し、多くの軍事施設を破壊したが、イランは湾岸諸国への攻撃でゆさぶりをかけながら徹底抗戦した。
イランの勝利条件はひとつ、現体制の生き残りだ。国際社会が戦争による経済的損失を許容できなくなるまで持ちこたえる。その切り札が世界の原油の2割(日本の9割以上!)が通過する要衝、ホルムズ海峡の事実上の封鎖であった。
原油供給が途絶したことで、中東にエネルギーを依存する国々で社会経済の維持に対する深刻な不安が持ち上がった。日本は200日分以上の原油(石油)備蓄を有しているが、LNG(液化石油ガス)やナフサなど全ての資源が備蓄されているわけではない。
こうした状況に対し、国際エネルギー機関(IEA)は3月20日、原油価格高騰を受けて下記10項目の需要抑制策を提示し、各国に協力を呼びかけた。世界の石油需要の半分近くが道路輸送分野であることが示すように、8項目は移動に関する内容である。
1 可能な限り在宅勤務を行う
2 高速道路の制限速度を少なくとも時速10km引き下げる
3 公共交通機関の利用を促進する
4 大都市で自家用車の流入を曜日ごとに規制するなどして渋滞を緩和する
5 カーシェアリングを増やし、エコドライブなど効率的な運転方法を採用する
6 貨物輸送で車両の適切なメンテナンスや積載量の最適化などを実施し効率的な運転を図る
7 LPG(液化石油ガス)の輸送への使用を抑え、調理など生活に不可欠な分野に充てる
8 代替手段がある場合は航空機による移動を避ける
9 可能な限り電気などの現代的な調理方法に切り替え、LPGへの依存を減らす
10 石油化学など関連業界で操業の効率化などを進める







