だからこそ、キャリアの初期段階で出会った、この「ざっくりと指示を出す」選曲家との仕事は、自分に非常に合っていたのだと思う。作曲家によっては、「もっと詳細な指示を出してほしい」と感じる人もいるかもしれない。しかし僕にとっては、大枠だけを提示された方が、自分の中で音楽的なバランスを取りやすかった。
「こういう曲を作ったから、次はこの方向性の曲があれば、より世界観が広がるだろう」というように、自律的に発想を広げていくことができるし、その方がはるかに楽だと感じていた。
「このシーンは、こういう心情でこういう状況だから、こういう音楽を」と細かく規定されてしまうよりも、多少自由なアプローチができる方が性に合っている。それに、結果として、別のテーマとして作った曲がメインテーマになることだってあるのだ。
劇伴はある程度の曲数が必要になるからこそ、音楽全体をどう構築していくのかが重要だと考えている。作品の内容を自分なりに把握し、そこから大きく逸脱しない範囲で、自分の音楽を追求していく。そのプロセスにこそ、作曲の面白さがあると感じていた。
『医龍』のBGM制作という
チャンスが突如舞い込む
選曲家の彼は、僕のキャリアにおいて非常に重要な人物だった。僕がまだ若く、全くキャリアがないにもかかわらず、『Ns'あおい』から始まり、『医龍-Team Medical Dragon-』(注2)『タイヨウのうた』(注3)と立て続けにゴールデンタイムのドラマ作品に関わることができたのは、間違いなく彼のおかげだ。
(注2)2006年にフジテレビ系「木曜劇場」枠で放送されたテレビドラマシリーズ。主演は坂口憲二。メインテーマは河野伸、それ以外の劇伴は澤野が担当。2007年に第2期、2010年に第3期が放送され、引き続き澤野が音楽を手掛けた。
(注3)TBS系列の金曜ドラマ枠にて2006年に放送されたテレビドラマ。主演は山田孝之。澤野が初めて単独で音楽を担当したドラマ作品。







