「ああいうドラマの音楽が、この作品には合うと思うんだ」と。僕は『CSI』を全く観たことがなかったが、その一言で吹っ切れた。「なるほど、刑事ドラマのようなサスペンスフルな楽曲を作っていいのか」、と。
それからは、自分の中にあるサスペンスのイメージを自由に膨らませていった。ロック調の楽曲も躊躇なく作った。なぜなら『医龍』の劇中ではギタリストのスティーヴ・ヴァイ(注6)の楽曲(「Building The Church」)がテーマの1つとして使われるという話を聞いていたからだ。そうしたアプローチが許されるのであれば、とことんやってやろうと開き直ったのだ。
『錯覚の音』(澤野弘之、扶桑社)
『Ns’あおい』の時は、ゴールデンタイムの爽やかな医療ドラマらしい、ある種の王道的な音楽を意識していた部分が多少あった。しかし『医龍』では、そうした既成概念を一切取り払って制作に臨むことができた。
例えば、僕が好きだったレッド・ホット・チリ・ペッパーズ(注7)のアルバム『Mother's Milk』のような、ハードロックの要素を取り入れてもいいのではないかと考え、ギターリフ(注8)を強調した曲や、メタルロックに近いサウンドも積極的に導入した。
(注6)1960年、アメリカ合衆国ニューヨーク州生まれのロックギタリスト、作曲家。過去に三度グラミー賞を受賞。
(注7)アメリカ合衆国カリフォルニア州出身のロックバンド。1983年の結成以来、40年以上にわたり活動を続け、過去に三度グラミー賞を受賞。『Mother’s Milk』は1989年リリースの4thアルバムでバンドの出世作。
(注8)曲のなかで繰り返し演奏される印象的な短いフレーズを指す言葉。







