歪んだ正義感が暴走し
言葉の暴力に発展

 SNSで誹謗中傷をする加害者は、50代男性が最多だといいます(弁護士ドットコム株式会社の調査による、22年)。男性のほうが多いものの、女性の加害者も一定数います。

 また誹謗中傷を行った動機については、「正当な批判・論評だと思った」(51.1%)が最も多いものでした。次いで「イライラする感情の発散」(34.1%)、「誹謗中傷の相手方に対する嫌がらせ」(22.7%)、「虚偽または真偽不明の情報を真実だと思いこみ投稿した」(9.1%)といった回答が続いたそうです。

図表:誹謗中傷を投稿した動機は同書より転載 拡大画像表示

 動機の1位である「正当な批判・論評だと思った」人は、すなわち「歪んだ正義感」を持っている人だといえます。「自分が正しい、相手のほうが間違っている」と、無自覚に誹謗中傷という言葉の暴力を振るってしまったのです。

 またここで動機として挙げられてはいませんが、そもそも根本的には、「暇だから」あるいは「自分の意見に多くの人が反応して、バズったり拡散されたりすると、自己顕示欲が満たされるから」といった理由もあるでしょう。

「本物の正義感」を発揮することで、SNSというツールを使って社会の理不尽を容易に告発できるようになったのは、SNSのいい面です。しかし「歪んだ正義感」で、自分の意見を正義だと信じて相手に押し付けようとする人たちが増加しているのは、SNSの悪い面といえます。

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叩いていい道理はない

 正義の基準が、人によって異なるのは普通ですが、「自分の正義」をむやみに人に振りかざしてはいけません。正義を振りかざしそうになったら、「自分に人を裁く権利はあるのか」と自問自答すべきでしょう。