『新約聖書』に、「罪のない者が石を投げよ」という言葉があります。
イエス・キリストが生きていた時代の中東地域には、不倫をした女性への罰として、みんなで石を投げて殺すというものがありました。このときイエスが、「この中で罪なき者、石を投げよ」と言ったのです。つまり、他人を批判し罰するのなら、自分は一切の罪を犯していない聖人なのかと自問自答すべきである、ということです。イエスのこの言葉を聞いた途端、みんなぞろぞろといなくなり、女性は助かるのです。
最近は芸能人の不倫報道などがあると、ネット上で過剰なまでにバッシングが起きるようになりました。けれど、不倫は現在、刑事上の犯罪ではありません。
明治時代に始まった旧刑法には「姦通罪」があり、既婚女性が不貞行為をした場合は、その既婚女性と相手の男性が6カ月以上2年以下の懲役を受けました。その一方で既婚男性が不貞行為をした場合には罰せられないという、男女不平等な内容だったのです。姦通罪は、戦後の1947年に廃止されました。
正式に結婚しているのに別の女性とも結婚をする「重婚」は、現在も民法で禁止されている犯罪ですが、既婚の人が配偶者以外と性的関係を持つこと自体は、倫理観は問われるけれども犯罪ではありません。さらに言えば、それは当事者同士の問題です。
不倫された側が、配偶者やその不倫相手に、精神的苦痛を味わったことに対しての責任を民事裁判で訴えて慰謝料を請求することは可能です。これは不貞行為が、民法709条の「不法行為」に該当するとされているからです。
昨今、不倫報道をされた芸能人は、コマーシャルに出ていれば降板となり、映画に出ていれば公開日が延期になり、テレビドラマに出ていれば出演シーンをカットされ、その後のドラマや映画のキャスティングもされなくなるなどと、社会的制裁を受けています。
これほどの制裁を受けながら、見ず知らずの人々から多くの誹謗中傷もされてしまう、これは果たして「正義」なのでしょうか。「自分の正義」を振りかざす人たちによる、行き過ぎた行動ではないでしょうか。







