日本人は宗教など初詣と葬式のときくらいしか意識しないが、世界的にはこれは少数派。多くの外国人にとって「信仰」は生きていくうえで欠かせない。外国人労働者を多く迎え入れれば当然、宗教施設も増えていく。

 つまり今回、藤沢市で起きた「モスク反対派vs擁護派」という衝突は、ミュージシャンのコンサートツアーのように、全国各地のモスク建設予定地に広がっていく可能性が高いのだ。

「いやいや、モスクが増えてもそういう対立が必ず持ち上がるとは限らないだろ」と感じる人も多いだろうが、そう考えざるを得ない理由がある。

「移民政策反対」などを掲げる政党・政治家にとって、「モスク建設反対」は支持拡大が見込めるキラーコンテンツだからだ。ミもフタもないことを言ってしまうと「バズる政治テーマ」なのだ。

「日本が外国人に乗っ取られないために頑張っている人たちを再生回数狙いのYouTuberのような扱いをして許せない!」と怒りで震える人も多いだろうが、実際にそうとしか思えないことが前回の選挙で起きている。

 デザイナーでYouTuberの菊竹進氏は2025年ごろから、藤沢市のモスク建設反対を主張して、前回の衆院選で藤沢市を含む神奈川12区から出馬、落選はしたが2万1089票の支持を集めた。ちなみに、菊竹氏は2023年に武蔵野市議選にNHK党から出馬したが、このときは385票しか取れていない。「モスク建設反対」がバズったことで、支持も拡大できたと考えられる。

 これは実際に藤沢市のモスクの建設予定地に行くとよくわかる。

筆者が現地で聞いた
モスク反対派の「根拠」

 近隣住民は賛成・容認・反対などいろいろな意見が混在しているが、強烈に反対している人は、特定の政治信条があることが多い。例えば、現地のすぐ近くに土地を持つ男性は私にムスリムの危険性を切々と訴えてくれた。

「ここには神奈川県中のムスリムが集まってきて、とんでもない悪さをするんだよ。治安はめちゃくちゃ悪くなるから、この辺の女性は怖くて夕方でも歩けなくなるよ。それなのにもう誰も止めてくれない。酷い話だよ」