「女子大には、女性だから何々ができないというような考えには絶対に陥らない環境がある。女子中高や女子大は女性が社会や世界で活躍することを前提とした世界観で運営されているので、それが当たり前と刷り込まれて育成されていくのは、特に日本のように女性活躍度が低い国においては意義のあることだと思う。社会に出た後も、普通であれば躊躇するようなことにも平気で挑戦する人が多い」。世間ではいわゆるお嬢様大学の筆頭とも目される名門女子大だが、実際は骨太で、グローバルなキャリア志向が伝統的に育成されてきたことがわかる。

 むしろ系列の中高がない(内部進学者が存在しない)ことを好感して東京女子大を選んだというCさん(55歳、飲食店経営)は、「あまり学校には行っていなかった」と笑いつつ、当時の友人との出会いが人生の糧になっている、と語る。

「東女(トンジョ)で出会った友人のおかげでアフリカへのバックパック旅を体験し、人生において“旅”という核がしっかりと出来たことが今の自分の土台になっている。女子大だからどうこうという感覚はあまりないが、東女での出会いには卒業後の人間関係も含め、感謝しかない」(Cさん)

 視野が外へグッと広がったというのは、女子大OGたちの意見に共通する点だ。さらに「個人的には今すごく勉強がしたい。大人になってからの勉強は本当に楽しい! 大学の先生に研究を手伝ってもらったりして、若い頃とはまた違った形で好奇心をぶん回している」との言葉は、確かな学習基礎力は大人になってからも人生を豊かにすることを教えてくれる。

女子大出身者は偏差値が高くても男性に敬遠されない

 社会に出る前に自分たちの女性性を深く内観して備えることができるのは、おおよそ18歳から20代前半という(なぜなのか日本社会では幅広い年齢層の男性から強い関心をもたれがちな)時期を女性だけの環境で過ごす、女子大教育ならではかもしれない。

「仕事上、不要な摩擦は避けたい(気に入られたい)局面が多かったことは事実」と認めるDさん(51歳、芸能)は、早稲田の一文を蹴ってお茶女へ進んだが、その話をすると男性たちが“定型の反応”をすることに気づいた。「うそ、早稲田蹴ったの? 早稲田の方が良かったんじゃない?……と言いつつ、お茶女出身であることで、偏差値の割に男性から敬遠されにくい。東大や早慶というよりも、女子大だと男子とは別次元になるので敵に回しにくいところはあるのかな、と感じることがあった」

 当時、Dさん本人にとって早稲田の一文よりも国立のお茶女を選ぶのは、志望理由だけでなく難易度の上でも、ごく自然なことだった。お茶女の方が難しかったからだ。お茶女での学生生活自体は、「国立なのでお嬢さん感は全くなく、同級生は地味で賢く、1学科8~40人ぐらいの、クラス分けの必要もないほどの少人数制。学問の楽しさも教えていただき、男の子の目を気にしなくて良いので、図書館のソファで寝ている女子もいっぱいいた。居心地良かった」。学内でやっていることは、ゴリゴリの学問。だが“女子大にいるのは男性と伍して戦いそうにないお嬢さんたち”という世間の愛すべき誤解ゆえに、女子大OGは男性の敵に回されない、とは、社会に出てからのひそかな発見だった。