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学校法人白百合学園は幼稚園から小学校、中学校、高校、大学までを網羅した女子エスカレーター校を展開してきた。この白百合系列で共学化ラッシュが起きている。連載『教育・受験 最前線』では、連載内特集『エスカレーター校 クライシス2』をお届けする。ダイヤモンド編集部独自の「裏成績表」を作成し、一貫教育を行う名門女子エスカレーター校の危機をあぶり出す。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
共学化ラッシュを引き起こした
「定員割れ」のさらなる悪化
4月7日に行われた入学式に男子生徒の姿――。岩手県盛岡市にある中高一貫校、盛岡白百合学園中学高等学校において、今までにない光景だった。全国の白百合系列の中高で初めて男女共学となった初年度、中学では男子4人を含む計25人、高校では男子105人を含む計260人が新1年生となった。
共学化は盛岡白百合学園中高だけで終わらない。140年以上の歴史を持つ白百合学園は、幼稚園から小学校、中高一貫校、大学などを全国で展開しており、来年には宮城県仙台市にある仙台白百合女子大学、仙台白百合学園小学校も共学化する。女子エスカレーター校の姿から大きく変わろうとしている。
背景にあるのは定員割れだ。
下表は白百合学園が運営する大学、高校、中学校、小学校、幼稚園の「収容定員充足率」(在籍者数÷収容定員)を算出し、その推移をまとめたものだ(湘南白百合学園と函嶺白百合学園は別法人のため、算出の対象外)。
収容定員充足率は収容定員に対してどれだけ学生・生徒が埋まっているかを示す数値であり、共学化志向が強い若い世代の「女子大離れ」によって白百合女子大学も仙台白百合女子大も定員割れが続いている。とりわけ仙台白百合女子大は定員のおよそ半分しか埋まらなくなった。
高校、中学校、小学校、幼稚園も、都内にある学校以外は全て大幅定員割れ。地方は少子化の影響がより深刻で、収容定員充足率は年を追うごとに悪化している。優雅な名門ブランドのイメージとは裏腹に、切羽詰まった運営に陥っている。
手を打たなければ、存続が厳しいことは明らか。盛岡白百合学園高等学校は2023年に収容定員720人に対し在籍者数313人で収容定員充足率43.5%、24年は在籍者数296人で収容定員充足率41.1%、25年は在籍者数280人で38.9%と、どんどん悪化していた。中学しかりである。
盛岡白百合学園高校の「入学定員充足率」(入学者数÷入学定員)は、23年47.5%(入学定員240人に対し入学者数114人)、24年35.8%(入学者数86人)、25年37.9%(入学者数91人)。そして共学化1年目、高校は約20年ぶりに入学者数が定員を超えた。
共学化は生き残るための一つの策ではある。ただし、この先ずっと定員を満たしていけるのか、また他校が共学にしたら同じように入学者を集められるのかといえば、容易ではない。
盛岡白百合学園小学校は20年に生徒募集を停止し、25年3月に閉校した。生徒が足りない状態が続けば、質の良い教育を維持することはできなくなる。学校法人全体の経営ひいては質の良い教育を守るためには、「閉校」も選択肢となる。
では、名門の輝かしい看板の裏でこうした状況に陥っていることを、学生・生徒とその家族、卒業生、学校・教育関係者らは、どうすればつぶさに把握できるのか。世に出回る入試周りの情報だけではつかみ切れない。そこでダイヤモンド編集部では、財務を中心とした経営周りのデータを基に、学校法人個々の実力を独自の指標で評価する「裏成績表」を作成した。
次ページでは、白百合学園の裏成績表を公開する。この裏成績表を見れば、閉学や共学化ラッシュが起こるのは必然だったことが明快に分かり、白百合系列がこの先どうなるのかも見えてくる。








