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がんと診断されたとき、「このまま働き続けられるのか」と悩むのは避けがたい。実際、その不安から仕事を手放す人は3割を超える。しかし、離職の理由は病気そのものだけではない。がん専門医である筆者が、その実態と背景にある要因を明らかにする。※本稿は、山口建『高齢者とがん』(中公新書)の一部を抜粋・編集したものです。

がん治療の際は無理をせず
身体や心へのいたわりを優先する

 2003年実施のアンケート調査「がん体験者の声」によって、治療前と治療後とで、勤務先に変化があったかを尋ねたところ、「現在も勤務している」と答えた人は47.6%にとどまり、「休職中」が8.7%、「依願退職」が30.5%、「解雇」が4.2%との回答が得られた。

 自営業や家族従事者では、「現在も営業中」と答えた人が68.0%、「休業中」が7.7%、「従事していない」が5.7%、「廃業した」が13.2%、「代替わりした」が4.0%となった。2013年の調査でもほぼ同様の結果であり、がんに罹ったあと、2~3割がそれまでの職場を辞めていた。このすべてが、がんに罹ったことが直接の原因というわけではないが、がんという病気が就労に大きな影響を及ぼしていることは間違いない。

いままで頑張ってきたのに、がんになったことで人事評価などに影響があると思い、挫折感でつらかった。(40代、女性)
手術後あまり無理をしないようにいわれているが、自営のためどうしても無理をしているのではないかと思っている。(60代、男性)