また、上司との折り合いが悪く、何とか修復しようと努力はしたがどうにもうまくいかず、ずいぶん悩んだ末にやむを得ず転職したという人もいる。転職先は前の会社よりも規模が小さく不安定で、給料などの待遇も悪く、以前のように仕事に熱心にはなれなかったという。だが、ある時、気になったセミナーに参加し、そこで知り合った人の影響を受けてマーケティングを本格的に勉強し始めたことが功を奏して、社内の人事異動でマーケティングの部門に移ることができ、仕事が楽しくなり、待遇の悪さなど気にならなくなったという。

 この人の場合、修復不可能なほど折り合いの悪い上司の下で働くようになったことも、その折り合いの悪さが原因で転職を余儀なくされたことも、まったく想定外だった。転職先の会社の待遇の悪さに腐りかけていたときに、たまたま参加したセミナーでの出会いが転機となって、仕事の充実を手にすることができたのも、想定外のことであり、偶然の所産ともいえる。

 しかしこの人の場合も、自分からセミナーに参加しなければ、そうした偶然の出会いもなかったろう。興味を惹かれたマーケティングを本格的に勉強しようという意欲と勤勉さがなければ、仕事生活が輝くこともなかったはずだ。セミナーに参加しようという積極的姿勢や、興味のあることを本格的に勉強しようという意欲と勤勉さが、偶然の好運を呼び寄せたのである。

 このように、多くの人のキャリアは、思いがけなく降りかかってくる出来事に大きく左右されるものである。だからこそ、今のような時代に必要なのは、予期せぬ出来事への対応力であり、そして先のことにばかり気を取られずに、日頃から地道に取り組む姿勢が大切なのである。