さらに、2025年の特徴として生成AIやフェイク動画の影響がある。AI生成の「クマが優しい・人と仲良し」系の動画や、偽の衝突映像によって、コメント欄が「同情」や「恐怖」に偏っていく現象だ。これは危険行動を誘発したり不必要な恐怖を煽ったりする。生成AI時代の新しい課題と言える。
様々な要素が重なり合って、2025年の大騒動となった。
凶暴化しているクマは
ごく一部の例外
これらメディアの報道やSNSなどネット上の情報は、クマのイメージを非常に悪化させており、これからのクマの管理にとって非常に厄介な状況だと感じている。クマは生き物であり、何がわかっていて何がわかっていないのかをしっかり伝える必要がある。
一般の人が受ける情報が肥大化し、クマに対するイメージが独り歩きしていく中で、クマという生き物がどういうものなのかを科学的知見から伝えていかなければならない。
『クマは都心に現れるのか?』(小池伸介、扶桑社)
例えば、一部のメディアでは2025年に一気に全てのクマが凶暴化したかのような内容の報道があったりした。あるいは、人間を積極的に捕食するようにクマが変化したなど、危険性ばかりが強調される。クマがイヌを食べたという話もネット上でバズり、追いかけで類似した記事が量産される。ページビューで閲覧数を稼ぎ、広告収入で成り立っているようなネット環境では、どうしてもそうなってしまいがちだ。
専門家の立場からすれば、ごく一部のクマが特異な行動を取っているだけとしか考えられないのに、メディアの伝え方はどうしてもセンセーショナリズムに傾く。クマが出ただけでニュースになるような状況が、2025年はなかなか収まらなかった。
クマというのは、地方へ行けば行くほど身近な存在だ。いて当然の存在なのだが、東京などの都会に暮らす人からすると、今まで実感できなかった身近ではない存在で、かつ、これだけ被害が起きている。自分たちの生活に直接関係ないけれどそれでも知りたい、語りたいという感情を煽る部分もあるのだろう。







