こういった最悪のタイミングで行われたのが、イラン攻撃前に予定を立てた3月19日の日米首脳会談だった。欧州各国がトランプ大統領との関係を悪化させる中、高市首相にとってこれ以上ない「難しい訪米」となった。トランプ大統領はホルムズ海峡での協力を強く求め、自衛隊の艦船派遣を迫ることが事前から予想されていた。

 だが、高市首相は「法律の範囲内でできること、できないことがある」と丁寧に説明し、派遣を確約せずに切り抜けた。日本の野党とマスコミは高市首相を攻撃したのとは対照的に、『ニューヨーク・タイムズ』紙は「ほぼ無傷で乗り切った」、ブルームバーグは「国際舞台における機敏さを存分に示した」と評した。

「国際法違反」で反発したマスコミと野党

 アメリカによるイラン攻撃は、国連安保理の授権なしに行われた。この点について、国内の主要メディアや野党の多くは「国際法違反だ」として高市政権の「アメリカ支持」姿勢を批判した。

 国連憲章の観点からは議論の余地がある行動だろう。中国外務省も「国連憲章の趣旨・原則を踏みにじる」と強く非難した。

 欧州主要国の首脳の中では、スペインのサンチェス首相が「国際法に違反する」と最も強硬に批判した。

 フランスのマクロン大統領やイタリアのメローニ首相も「国際法の枠外にある」というマイルドな表現での批判にとどめ、ドイツのメルツ首相やイギリスのスターマー首相は国際法違反への明確な言及を避けたのと対照的だった。

 だが、この「国際法違反」論には慎重な評価が必要だ。

 イランが公然と核開発を進め、中東各地に散らばるシーア派反政府勢力を支援して「革命の輸出」を拡げ、イスラエルやサウジアラビアへの攻撃能力を高め続けていた事実、交渉の破綻経緯、そして地域安定への脅威の深刻さを考えると、1つの「違反」で断罪できるほど単純な話ではない。

 特にフーシ派の拠点となっているイエメンについては、インフラや医療・食料供給の崩壊によって数十万人の子どもたちが死んでいる。第一期トランプ政権で、トランプ大統領はイエメン救済のためにイラン革命防衛隊の締め付けとイエメン内戦停戦に尽力している経緯もある。「元凶のイラン革命防衛隊を叩かなければ、イエメンは救えない」というのは、国際政治に関わる誰もが感じている本音ではないだろうか。