中国にとって、これは米欧分断を狙った外交上の大きな成果だ。NATO加盟国のスペインが中国に接近するという構図は、習主席が望んでいた「多極化」世界の現実化を意味する。
だが、上述したように、欧州で明確に中国寄りだったのはスペインだけであり、「NATOの分断を図る」にはほど遠い成果だ。
また、スペインにとってもこの行動は、アメリカとの対立を深め、NATO内でも流れに反したものであり、信頼性を失うものとなった。
トランプ大統領を激怒させたイタリアの事情
かつてトランプ大統領の「欧州における最も近い同盟者」と呼ばれたイタリアのメローニ首相が、激しく攻撃を受けた。トランプ大統領はイタリア紙『コリエーレ・デラ・セラ』とのインタビューで「彼女には驚いた。勇気があると思っていたが、間違いだった」と非難した。
主なきっかけは2つある。1つめは、メローニ首相がイラン戦争への関与を拒否し、ホルムズ海峡での安全確保協力にも消極的な姿勢をとったこと。2つめは、トランプ大統領がローマ教皇レオ14世を「弱腰だ」と批判したのに対し、メローニ首相が「容認できない」と反論したことだ。
カトリック信仰が根強いイタリアでは、教皇への批判は政治的に致命的になりうる。
メローニ首相は14日、イスラエルとの防衛協定の自動更新を停止したとも発表するなど、「トランプ離れ」が強まっている。その背景には、憲法改正の国民投票で敗れるなど、国内の権力基盤が弱体化した点も大きい。
かつて「woke(ウォーク、意識が高い人たち)やDEI(多様性・公平性・包摂性)イデオロギーとの戦いを共有している」と息の合ったところを見せた蜜月関係は、政権の弱体化でリベラル派に妥協せざるを得なくなったことで、終焉を迎えたと見ていいだろう。
ただし、トランプ大統領にとっても、ヨーロッパにおける窓口が事実上なくなったことは、小さくはない打撃となるはずだ。反対にいえば、NATOや欧州との窓口は、トランプ大統領が信頼する高市首相に集約される可能性が高まっている。







