中国が仲介に乗り出し始めた
停戦、和平交渉にも影響及ぼす可能性
中国が、ホルムズ海峡問題で、イランに対して圧力をかけ封鎖解除に乗り出す可能性があるとの観測はこれまでもあった。
米シンクタンク外交問題評議会(CFR)のリチャード・ハース前会長は「米国は、ホルムズ海峡の封鎖とともに、中国やインド、パキスタン、トルコなどイランの主要な顧客が、米国の要求を受け入れるようにイランに圧力をかける戦略を並行すべきだ」と主張していた(注4)。
中国政府が、15日に、ホルムズ海峡の通航を正常化するようイランに求めたのは、実際、その通りの行動といえる。
中国の王毅共産党政治局員兼外相は、イランのアラグチ外相と電話で協議し、ホルムズ海峡について「航行の自由と安全が保障されるべきだ。通航の回復に努めるのは国際社会の一致した声だ」と伝え、航行の正常化を求めたという。
これについて、メディアは「中国が友好国に対して苦言ともとれるメッセージを伝え、それを公表するのは珍しい。イランと米国によるホルムズ海峡の事実上の封鎖がエネルギー安全保障に与える影響を強く懸念しているとみられる」としている(注5)。
その通りだろう。
その後、イランのアラグチ外相は17日、「停戦期間の残りの間、ホルムズ海峡を通過する全ての商船の通航を全面的に開放することを宣言する」と自身のSNSに投稿した。
しかしイランの革命防衛隊は、翌18日午後にホルムズ海峡を封鎖したと宣言し、海峡に接近する船舶は「敵の協力者」と見なして攻撃の「標的となる」と警告した。
また、海峡を通過した直後に引き返したり、目的地を示さず海峡を通過したりと、不自然な動きをする船が複数あるという(注6)。
そして21日の米国側の「停戦延長」にも反応していない。イランの内部でも対応が分かれているのかもしれない。ホルムズ海峡では、依然として混乱状態が続いている。
だが、ロシアが関係の深いイランを巡り、米国との仲介役を買って出ているとされる中で、中国の海峡問題への関与、仲介の動きは、今後の停戦、和平を動かす新たな要因として注目される。
注1 「『敵の過ち』」静観する中国」 The Economist、26年4月7日
注2 トランプ大統領のSNS投稿全文 「イランと2週間の停戦で合意、イラン軍事衝突」、日本経済新聞、26年4月8日
注3 「米国のホルムズ海峡逆封鎖に焦る中国…『2週間の停戦』のようにイランを説得するか」、中央日報、4月15日、Yahoo! ニュース
注4 中央日報、4月15日
注5 「中国、ホルムズ海峡開放へ動く 原油調達に焦りで異例の対イラン圧力」、日経新聞、4月16日
注6 「ホルムズ海峡、船に不自然な動き」 朝日新聞、4月18日
(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)







