日立の家電をノジマが1100億円で買収
異例のM&A、その狙いとは

 時は流れて2026年、日立製作所が家電事業をノジマに譲渡すると発表した。日立子会社の日立グローバルライフソリューションズが家電事業を分社化し、新会社を設立。ノジマは新会社の株式80.1%を約1100億円で取得する。日立はトルコのアルチェリクと家電事業で合弁していたが、それも新会社に集約される。日立ブランドの家電は国内外でノジマ傘下となる。

 日立は08年に大赤字を計上したのをきっかけに構造改革に注力してきた。今回の家電事業譲渡で、一連の改革に終止符が打たれたともいえよう。経営陣も社員も体質改善にそうとうの覚悟を持ってきたはずで、それが一区切りを迎えた。

 もっとも家電の流通側から見れば、量販店がついに大手メーカーを取り込むという、これまたエポックメーキングな事態だ。新たな時代の幕開けを予感させる。

 独占禁止法上の審査状況は未開示だが、譲渡対象は冷蔵庫、洗濯機、掃除機、オーブンレンジなど白物家電のほぼ全般とみられる。それにしてもノジマはすごい。実は、ノジマはM&Aの旗手といえる。これまでの買収例では、23年に携帯販売代理店コネクシオを約850億円で、25年にパソコンメーカーVAIO(元ソニーのブランド)を約112億円で傘下に収めている。今回の日立の家電事業の約1100億円は、ノジマにとって過去最大の買収額となる。

 日立から見れば家電事業は売上高の3~5%程度だが、ノジマの連結売上高は8534億円なので、日立の家電事業の売上高がそのまま上乗せされれば、ノジマは1兆円企業の仲間入りを果たすことになる。これは家電量販最大手ヤマダホールディングスに次ぐ規模だ。

 ただし、ノジマは「この程度は、まだ途中」と思っているだろう。何しろ売上高3兆円の目標を公言しているのだから。M&A攻勢はどこまで猛進するのだろうか。あと気になるのは、日立ブランドをどれくらい維持するかだが、現時点では不明だ。

 一方の日立側は、苦渋の決断であっただろう。構造改革の一環で、日立化成も昭和電工(現社名レゾナック)に売却したし、日立金属は外資ファンドのベインキャピタルに、日立工機や日立物流も外資ファンドのKKRに譲渡した。