「わかった?」で終えているのに、なぜ何度もすれ違うのか。部下の「わかりました」は、理解ではなく“聞きました”の相づちかもしれない。認識のズレを防ぐには、どうすればいいのでしょうか?
SNSでビジネススキルについて情報発信を行い、総フォロワー数が37万人を超え、『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』の著者である「にっしー社長」こと西原亮氏に教えてもらった、誰でも「しごでき」になれる令和リーダーの基本を本記事で紹介します。

「わかりましたか?」と聞く人は仕事ができない。仕事ができる人はどう聞く?

「わかった?」ではなく「復唱して」で指摘を終える

上司が部下に指示や指摘をした際、最後に必ずと言っていいほど口にする言葉があります。

それは「わかった?」です。

そして、部下は必ずこう答えます。

「はい、わかりました」

しかし、数日後にアウトプットが出てくると、上司の意図とはまったく違うものができ上がっている。

「あんなに『わかった』と言っていたのに、なぜ伝わっていないんだ!」と上司は憤慨する。

この悲劇は、どこの職場でも繰り返されています。

部下の「わかりました」は、本当に理解したという意味ではなく、「話を聞きました(だからもう解放してください)」という相槌に過ぎないことが多いのです。

では、この「認識のズレ」をゼロにするにはどうすればいいのでしょうか?

それには「事実と根拠」をセットで伝え、最後に「部下の言葉」で復唱させるという鉄則を守ることです。

ステップ1:「事実」と「根拠」をセットにする

まず、指摘をする際は感情を抜きにして、以下の2つをセットで伝えます。

事実:何が起きているのか、何が間違っているのか。

根拠:なぜそれがダメなのか、なぜ修正が必要なのか。

×悪い例:「この資料、もっとわかりやすくしてよ。お客様に見せられないよ」(「わかりやすく」があいまいで、なぜダメかの根拠がない)

◯良い例:「この資料のグラフだけど、数字の単位が抜けている箇所があるよね(事実)。これだとお客様が金額なのか個数なのか誤解して、トラブルになるリスクがある(根拠)。だから修正してほしい」

このように「事実」と「根拠」を伝えることで、部下は「修正すべき理由」に焦点を当てることができます。

しかし、これだけではまだ不十分です。

ステップ2:部下の言葉で「翻訳」させる

前職のコンサルティング会社には、非常に優秀な上司がいました。

彼は、部下への指示において、あることを徹底していました。

彼は、コミュニケーションには「伝える」→「理解させる」→「納得させる」→「行動させる」の4つの段階があると言いました。

多くの上司は、一方的に話して「伝えた」だけで満足しがちです。

しかし、相手が「理解」し「納得」していなければ、正しい「行動」は生まれません。

そこで、その上司が必ず最後に行っていたのが、「部下に自分の言葉で説明させる(復唱させる)」ことでした。

「さて、ここまで話したけれど、認識がズレるといけないから確認したい。今の私の指示を、○○さんの言葉でもう一度説明してくれるかな?」

これを聞かれた部下は、適当に聞き流していたら答えられません。自分の脳内で情報を咀嚼し、整理してアウトプットしなければならないからです。

部下:「えっと、グラフの単位が抜けているとクレームになるから、単位を追記して再提出する、ということですよね?」

上司:「その通り。頼んだよ」

あるいは、ここでズレが発覚することもあります。

部下:「グラフのデザインをもっときれいにする、ということですよね?」

上司:「いや、デザインではなく、単位の漏れが問題なんだ。そこだけ直してくれればいい」

この「復唱(答え合わせ)」のプロセスを経ることで、初めて「理解」のフェーズが完了するのです。

「わかった?」と聞くのではなく、「どう理解したか、君の言葉で教えて」のたった1分の確認作業が、後の10時間のやり直しを防ぐ最強の防波堤となります。

(本記事は、書籍『コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前』から一部を抜粋・編集し作成しました)