薬を送りつけるだけの医療機関は要注意 

 まず、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれか(または複数)の診断を受けていなければなりません。その上で、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られない状態で、かつ体格指数(BMI)35以上の高度肥満、またはBMI27以上で、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症など肥満に関連する健康障害(全11項目)が2つ以上有する人、という条件を全て満たす必要があります。

 参考までに、BMI35は身長170cmで体重約102kgに相当します。さらに、専門的な管理体制を備えた医療機関での治療が求められるため、対応できる施設も限られており、ハードルは二重に高くなっています。

 厚労省の調査によると、日本ではBMI30以上の肥満は男女ともに数%程度にとどまり、BMI35以上の割合はさらに低い水準です。

「日本の保険適用基準は厳しく設定されているため、BMI30前後で高血圧・脂肪肝・糖尿病予備軍など本来治療を必要とする多くの潜在的患者が、保険の網から漏れているのが現状です」

 アジア人と欧米人では体の構造や病態の特徴が異なります。「日本人は欧米人に比べて体格の増加が比較的軽度でも、糖尿病にはなりやすい」と大西さんは説明します。

「欧米人は皮下脂肪がつきやすく、アジア人はおなかの奥、肝臓や心臓の周りなどの内臓脂肪が溜まりやすい傾向があります。インスリン分泌能が比較的低いため、気づいたときには糖尿病や心筋梗塞を引き起こす危険な状態に陥っていることが多いのです」

 保険適応基準の厳しさから、GLP-1薬を自由診療で処方するオンラインクリニックが増加しています。しかし、安易に飛びつくのは危険です。

 クリニック選びでは、医師が丁寧にカウンセリングを行い、血液検査などで事前に健康状態を確認した上で、継続的にフォローアップしてくれるかが重要だと大西さんは注意を促します

「既往歴を評価せず薬を送りつけるだけの医療機関は避けましょう。副作用への対応や休薬時のリバウンド対策まで伴走してくれる、信頼できる主治医を見つけることが不可欠です」