最近、少し食べただけでも胃もたれがして、お腹がいっぱいになる。でも、忙しくて病院に行く時間ももったいない。それに、胃がんなどの診断が出るのも怖い……。そんなふうに、胃の不調を我慢してはないだろうか。中高年が気をつけたい胃の病気について専門医に聞いた。(取材・文/日本文章表現協会代表理事 西田延弘)
内視鏡検査で「異常無し」
でも、病気かも?
胃の不調にはさまざまな種類があり、代表的なものとしては、胃もたれや胸やけ、吐き気などが挙げられる。これらをしょっちゅう経験している人は少なくないのではないだろうか。
「胃もたれの原因として考えられるのは、暴飲暴食や就寝前に食事を取るなどの生活習慣による消化不良、カフェインや香辛料(カプサイシンなど)の取りすぎ、自律神経の乱れ、ピロリ菌感染などです。また、胸やけは胃酸が逆流して食道の粘膜を刺激するために起こる症状ですが、その原因としては暴飲暴食やアルコールの摂取、喫煙などが挙げられます。
吐き気の原因にはさまざまありますが、原因となる消化器系の病気としては、胃や腸の炎症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などが考えられます。しかし、共通の原因として忘れてはならないのがストレスです」
こう説明するのは、三科医院の三科友二副院長。胃もたれは、胃の動きが悪いことにより食物が胃の中に残り、お腹が張っている感じがするという症状だ。胸やけは、胃酸が増えて食道に逆流する「逆流性食道炎」の代表的な症状。食道と胃の間の筋肉(下部食道括約筋)が緩んだり、ぜん動運動に障害が出たりすることで起こる。
「体に不調を感じたら早めに医者の診察を受けるとよい」というのは常識だが、胃もたれなどの不調を感じて内視鏡検査などの詳しい検査を受けても異常が発見されない場合がある。この場合「機能性ディスペプシア」である可能性が疑われる。