GLP-1の分泌を刺激する栄養素とは?
発酵性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、「短鎖脂肪酸(プロピオン酸や酪酸など)」を産生します。この短鎖脂肪酸がL細胞に作用することで、GLP-1の分泌が促されると考えられています。、リンゴ、キャベツ、ニンジン、アーティチョーク、ニンニク、タマネギ、大麦、亜麻仁など、多くの野菜や果物などに豊富に含まれています。
タンパク質もGLP-1の分泌を刺激し、血糖値の安定に寄与します。豆類、魚、鶏肉、ナッツ、乳製品などが代表的な高タンパク質食品です。さらに、オリーブオイルなどに含まれる良質な不飽和脂肪酸もGLP-1分泌を刺激する効果があると報告されています。
「発酵性食物繊維を豊富に摂取し、植物性タンパク質(大豆製品)や魚などを優先して食べれば、腸が刺激されてGLP-1の分泌が高まる可能性があります」
食べる順番も重要です。「炭水化物より先に野菜から食べましょう。食物繊維を最初に取り、最低20分以上かけてゆっくり噛んで食べてください」
欠かせないのが「運動」です。GLP-1分泌を高め、減量後の体重維持に不可欠だとさまざまな研究が示唆しています。
目標は「週に合計150分程度の中等度の有酸素運動」。中等度とは、会話はできるが少し息が弾む程度の早歩き(ウォーキング)に相当します。同時に、筋肉量を維持するため週2〜3回の筋力トレーニングを組み合わせることも推奨されています。
「いきなり高い目標を立てると挫折します。運動習慣のない人は、1日30分を小分けにしてもいい。買い物のついでに歩いたり、通勤で階段を使ったりすることから始めれば十分です」
大西さんが担当するウエルネス外来は、更年期を迎えた女性の利用が多いそうです。
「閉経に伴いエストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少すると、食事や運動に気を付けていても、体重が徐々に増加しやすくなることが知られています。健康診断で脂質異常症や糖尿病予備軍と指摘されて不安を抱える女性が後を絶ちません。そうした人たちに、ようやく科学の手が届きはじめました」
GLP-1薬は、肥満や糖尿病に苦しむ多くの人たちに希望をもたらしました。大西さんは「自分の体と協力して生きるための新しいツール」と強調します。メディアやSNSの情報に惑わされず、GLP-1薬についてまずは正確な知識を持つことが何より大切です。
(監修/内科医・米ボストン在住 大西睦子)







