え、そんなに?半導体業界で「バカ勝ちする企業」と「出遅れる企業」の残酷なほどの違いPhoto:JIJI

デンソーはロームの買収案を撤回したが、半導体業界の再編機運は高まるばかりだ。わが国の経済と安全保障のためにも、国際競争力の高い半導体企業が必要とされている。世界の半導体市場では現時点で企業の優勝劣敗が明確になっており、勝ち組と停滞組の企業名を挙げながら、日本勢が進むべき今後のシナリオを予測していこう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

デンソーがローム買収案を撤回で
新・半導体メーカー誕生なるか

 わが国の半導体業界に再編の兆しが出ている。きっかけは、自動車部品大手デンソーが、半導体大手ロームの買収提案を撤回したことだ。元々、専門家の中には、「デンソーの提案は、デンソーにとっても、ロームにとってもあまりメリットはない」との指摘があった。結果的に、デンソーはロームの買収案を撤回することになった。

 現在、車載用などのパワー半導体市場の競争はかなり厳しい。また、イラン戦争の影響もあって石油価格の上昇、資材不足で、世界的に自動車などの需要が減少し始めている。加えて、予測できないトランプ米大統領の政策は、世界経済にとって重要なリスク要因だ。

 そうした状況を考えると、デンソーにとって、当初の計画通りに買収戦略を進めるリスクが上昇したとみられる。デンソーの撤回を機に、ロームは東芝や三菱電機などと事業統合の議論を進めることになりそうだ。それは、汎用型半導体をつくる他社をも巻き込んだ合従連衡につながる可能性を持つ。うまくいけば世界規模の半導体メーカーが誕生するかもしれない。その意味は大きい。

 半導体分野の再編は、わが国の経済に極めて重要だ。AI(人工知能)の世紀において、半導体は戦略物資として重要性が高い。世界の厳しい競争の中で、十分な体力と強い財務体質の半導体メーカーが生まれれば、その存在意義は大きい。

 わが国の経済と安全保障のためにも、国際競争力の高い半導体企業が必要とされている。世界の半導体市場では現時点において企業の優勝劣敗が明確になっており、勝ち組と停滞組の企業名を挙げながら、日本勢が進むべき今後のシナリオを予測していこう。