エルピーダの失敗を繰り返さないために…
政府の支援は必要か?
今後のシナリオとして、国内の車載用、パワー半導体企業が、事業を統合する可能性は高まった。車載用マイコン大手のルネサスエレクトロニクスも、今後の展開次第で再編に何らかの形で関係する可能性がある。三菱電機のトップは、中国企業の価格競争力の向上や市況悪化に危機感を持っているとコメント。再編へ進むことが十分に考えられる。
今後、三菱電機などを中心に、東芝、ローム、ルネサス、デンソー、富士電機などの車載用やパワー半導体事業の統合に向けた議論は加速する可能性が高い。統合が実現すれば、世界的な半導体メーカーがわが国で誕生することになるだろう。
過去にも、世界的な半導体企業を育成しようとした事例はある。NECと日立製作所、三菱電機のDRAM事業を統合したエルピーダメモリだ。ただしエルピーダは、リーマンショックによる需要の減少や、政府の支援見送りで経営破綻した。非常にタイミングが悪かった。
一方、中長期的には、パワー半導体や車載用半導体の需要は回復するとみられている。再生可能エネルギーの利用に、パワー半導体が欠かせないからだ。自動車の電動化やネットワーク接続にも、チップ需要は増える。そうした成長の波に乗るためには、市況が悪い今だからこそ再編を進め、経営体力を高める意義は大きい。
再編には、まず企業トップの強いリーダーシップが欠かせない。加えて、市況の変動性に対応するため、公的な支援も必要だろう。しかしこの点に関しては、政府が関与すると失敗するとの見方も多い。
しかし筆者は、現実は逆だと考える。米中欧では、「戦略物資である半導体は国を挙げて育成すべきだ」との考え方が増えた。わが国も、そうした変化にしっかり対応すべきだ。
わが国の産業、経済の実態はかなり厳しい。しかし半導体業界で、先端分野ではラピダスとキオクシア、汎用型分野では複数社が事業統合した新組織が出現すれば、日本の産業、経済が良くなる可能性は高まるだろう。車載用およびパワー半導体業界の再編がどのように進むかは、今後かなり注目すべきテーマである。








