半導体企業の優勝劣敗が明確に
勝ち組と停滞組の企業名とは
近年、世界の半導体市場では、需要が急拡大している分野と、鈍化している分野の違いが鮮明になっている。半導体市況は「K字型」(上向く線と下向く線に分岐)との見立てもある。
AI関連の先端製品の需要は、すこぶる堅調だ。その代表例が、画像処理半導体(GPU)で世界トップの米エヌビディアである。AI開発競争の激化が背景にあり、一部では米中のAI戦争勃発との見方まである。
AIの学習に必要な演算チップとしてGPUの需要は急増した。価格上昇により、エヌビディアの業績も急拡大している。そのエヌビディアを猛追するのが、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)や、中国の中科寒武紀科技(カンブリコン)だ。
足元では、AIに対応したメモリー半導体の需要不足が深刻だ。DRAMを積層した広帯域メモリー(HBM)の需給がひっ迫しており、さらに品薄感が強いのが、AI対応の高性能SSD(ソリッド・ステート・ドライブ、NAND型フラッシュメモリーを積み重ねた記憶媒体)である。
これも代表的な企業の株価や業績で見てみよう。キオクシアは昨年、世界の大型株の中でトップの上昇率を遂げた。同社は、業界内でAI対応型SSDの供給力が高いといわれる。HBM分野では韓国のSKハイニックス、サムスン電子、米マイクロンテクノロジーが供給力を増やしている。それでもAIの学習データ増加に、保存能力の拡張が追いつかない。結果として、SSDへの期待が急上昇している。
一方、車載用のマイコンや、電源管理のパワー半導体分野では需要の伸びが鈍化している。主要因は、米欧でEV(電気自動車)の需要が減少したことだ。中国の車載半導体メーカーが急成長したのもあり、供給はかなり厳しい競争になっている。世界のパワー半導体トップ3(独インフィニオン、米オンセミコンダクター、スイスのSTマイクロエレクトロニクス)の株価は、AIチップ関連銘柄に出遅れている。
数年前まではEVシフトが加速する期待で、各社は車載用などの供給能力を増やしたが、それが反転した現在の影響はかなり深刻だ。ドイツでは大手自動車メーカーに続き、車載用半導体事業を拡充したボッシュまで大規模な人員削減に踏み切った。
成長期待の高いAI関連分野か、汎用型か。事業領域の違いで、現時点における半導体企業の優勝劣敗が明らかになっている。







