三菱電機、東芝、ローム…富士電機も?
再編の機運高まる日本の半導体
そうした状況下、わが国の半導体業界で再編の機運が高まった。デンソーがロームに買収提案を行った狙いは、トヨタグループなどへの車載用半導体供給能力の引き上げだ。
4月28日、デンソーは、買収提案を取り下げると正式発表した。一方のロームは、ボッシュなどと取引している。ライバル関係にあるデンソー傘下に入ると、顧客を失いかねない。中国勢の追い上げも熾烈(しれつ)だ。ロームは、三菱電機、東芝との事業統合の方が、競争力を高めやすいと判断したのだろう。
半導体分野における世界シェアは三菱電機が4位、東芝は10位、ロームは12位程度とみられている。3社が事業を統合すると、単純計算で2位に浮上する。これなら中国勢へ対抗でき、世界市場における存在感は増す。
イラン情勢が、デンソーに与えた影響も重要だ。ロームの難色以上に、かなり決定的なインパクトをもたらした可能性は高いだろう。
イラン戦争で、汎用型半導体の需要が減少する懸念が一段と高まった。特に、米国の自動車業界への打撃は深刻だ。全米平均のガソリン価格は1ガロン当たり4ドルを超えた。4ドルを超えると、中低所得層を中心に個人消費は減少することが知られる。
しかも、ナフサやアルミなど基礎資材も不足し、自動車の生産は減少し始めている。米国とイランの交渉の難航を踏まえると、中東情勢の緊迫感は高止まりするだろう。ホルムズ海峡が戦争発生前の状況に戻るとは考えにくい。家電や住宅などの供給減少も顕在化しつつある。パワー、車載用など汎用型のラインで製造される半導体市況にはさらなる逆風だ。
そのためデンソーにとって、買収のリスクが当初想定よりも高まったと考えられる。株価がかなり割高な水準に上昇した中で買収すれば、将来的にのれんの減損リスクも上昇するリスクがある。そうした点を考慮して、デンソーは買収戦略を見直したのだろう。
重要な点が他にもある。今般のデンソーの撤回が、関連企業に与える影響だ。デンソーは富士電機とSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産で連携している。こうした企業が世界で戦い、生き残るために、協業体制を敷く必要性は急速に高まっている。







