知的財産を業界活性化のために
――古民家の再生手法に関しては「古民家ジャッキアップ工法」を商標登録しています。
山上 商標は2023年に登録しており、実は技術に関しても「古民家ジャッキアップ工法」として特許出願中です。
古民家に使われている屋根や柱、壁などの重さは合計で数十トンにもなり、時間がたつと自然にゆがみや傾きが生じてくるため、昔から「ジャッキアップ」という方法でゆがみを補正し、家を長く使い続けてきました。
ただ、従来の一般的な方法では床と壁を取り外してからジャッキアップするため、もっと効率的に工事ができるよう、壁をほとんど壊さないで済む工法を開発したのです。これにより、少ない費用、短い工期で建物のゆがみや傾きを正せるようになりました。
当社では、商標登録や技術に関する特許を積極的に取得し、戦略的に活用する経営を推進していますが、これは自社で知的財産権を独占することが目的ではありません。知的財産を適切に公開し、市場のルールを設計して業界全体の活性化を促すことを目的としています。
古民家ジャッキアップ工法についても、策を講じないままでいると、他社が技術を模倣して特許を出願し、独占する可能性があります。それでは、技術の普及も古木産業の発展も阻まれてしまいます。
前述の「古木の3Dスキャニングシステム」についても、現在、特許出願の準備を進めています。計測装置としての機能だけではなく、「古木に刻まれた時間情報・痕跡・加工履歴をデジタル保存し、未来へ継承するための仕組み」として認知を得ることが目的です。
古木や古民家に関連する市場規模はまだ大きくありません。他社を寄せ付けないために知的財産権を主張するのではなく、この工法や技術、ノウハウを必要としている人たちに利用してもらうためにオリジナルの技術を登録する。そうやって関係者人口を増やし、一緒になって古木・古民家ビジネスを活性化させていきたいと考えています。
そして、いずれ普及していったとき、山翠舎が「元祖」だったということが大切なメッセージになると思うのです。







