実際には、「AIウォッシング」と「本物のAI失業」が同時並行で進んでいる。
前者の主因は「構造的適正化の先送りの解消」にあると考えられる。コロナ禍の過剰採用を、AIを名目として一気に断行している側面がある。ベンチャーキャピタリストのモー・コイフマン氏はこれを「AIは、以前から必要だった規模の適正化を断行するための隠れみのを提供した」と看破している。
後者の主因は、言うまでもなく、ホワイトカラー従業員をAIに代替していることだろう。
テック業界全体の求人を見ると、一般的なソフトウェアエンジニアのポジションは2020年比で49%減少する一方で、機械学習エンジニアの求人は59%増加している。AIスキルを要求する求人は2024年から2025年にかけて170%増加し、2026年1月には27万5000件を超えた。
求人市場は二極化どころか、断絶が生じていると言うべき状態である。
「口実」と「本物」が入り混じっているがゆえに、現場で起きていることの本質が見えにくくなっている。だが、どちらが原因であれ、職を失う人間にとっては同じことではある。
「AI大解雇時代」のダメージが集中する若年層
この「AI大解雇時代」の被害が最も集中しているのが若者世代である。
20代でAI露出度の高い職種に就く若者の失業率は3ポイント上昇し、就職率は14%低下した。22?25歳の若者で最もAIに代替されやすい職種では、2022年末比で雇用が6%減少している。
現時点で、テック業界全体の失業率は2001?02年のITバブル崩壊以来となる5.8%まで上昇している。解雇された技術者の再就職までの平均期間も、2024年の3.2カ月から4.7カ月へと1カ月以上延びた。
ここに深刻な課題が浮かび上がっている。
フォレスター・リサーチの調査によれば、AI活用能力(AIQ)が最も高い世代はZ世代(22%)だ。ところが企業は、エントリーレベル(=新卒・既卒枠)のポジションを真っ先に削減することで、「AI時代を最もうまく生き抜ける世代」を就職市場から最も排除しているという矛盾を生み出している。







