こうしたやり取りを経て、大正14年(1925年)、中島は本邦初のマヨネーズ「キユーピーマヨネーズ」を発売。そこに起用されたのがこのロゴマークなのだ。
当初は瓶詰として売られており、ポマードと間違えて髪に塗られることもあったというが、以来、認知と業績を拡大し、マヨネーズの代表的ブランドとして今日の地位を築いている。
元イラストを描いた画家の
遺族から剽窃だと訴えられる
今やキューピー人形よりもキユーピーマヨネーズの方が有名といえるほどだが、キユーピー社は、「元ネタ」のキューピー人形を巡る珍事に巻き込まれたことがある。
キューピー人形の元となるイラストを描いたのは、20世紀初頭に活躍した米国の女流画家ローズ・オニールとされている。
同書より転載
キユーピー社は、平成10年(1998年)に、このオニールの遺族から日本における著作権を譲り受けたという日本人男性に、著作権侵害で訴えられたことがあるのだ。また、令和2年(2020年)には、別の企業から、「百年前の中島の商標登録はキューピー人形の不正な剽窃であるから無効だ」と訴えられている。
しかしどちらも、キユーピー社が勝訴している。大正時代の日本において、キューピー人形をモチーフにしたイラストは、すでにさまざまな事業者や作家によって数多く創作されていた。「日本独自のキューピー」が無数に存在していた状況があったのである。
キューピーの抽象的なイメージが一般化していた情勢を踏まえると、中島がキューピーマークを採用したことに不正はなく、また原作のキューピーとは、具体的表現が似ていないと判断されたのだ。
以降では、実際に大正時代に数多く併存していた、日本独自のさまざまなキューピーマークを見ていこう。







