2つ目は「進学振り分け制度」の適用外であること。東京大学での学生生活は前期課程(2年)・後期課程(2年~4年)の2段階に分かれる。入試では「文科○類」「理科○類」の大枠で学生をとり、全ての学生は入学後の2年を「前期教養学部」に所属して過ごす。問題は3年次から始まる専門課程だが、これを決めるのが「進学振り分け制度」(通称「進振り」)だ。
東大は前期(Sセメスター)・後期(Aセメスター)2学期制を取っており、学期ごとの成績が点数として算出されるが、この点数によって、後期課程で進学できる先が決まる。各類によって進学しやすい学部学科は決まっているが、大体人気の学部に優先科類以外から進学しようとすれば、平均80点(優評価)以上の高い評価を得る必要が出てくる。東京大学での受験競争は東大に入っただけでは終わらず、むしろ「東大に入った後が本番」とすら言われるのはそのためである。
だが、推薦入学者はこの競争に参加しない。入学時点で後期専門課程の進学先が決まっているからである。裏を返せば、他学部に進学したくても難しい(学部長との面談などを経れば、一応制度上は可能らしい)ことになるが、もともと1つの研究に高い興味を持つ彼らが、推薦出願時の研究や学部を捨てて別の学部へ移るケースは、現状聞いたことがない。
推薦入学者の早期履修制度は
問題点も指摘されている
3つ目が「早期履修制度」。これは、先述した「進学振り分け制度」の前から専門課程進学が決まっているためでもあるが、推薦入学者には前期教養課程に所属しながら、後期専門課程の履修が許されているのだ。
だが、一部学生からは「あってよかった」と好意的に受け入れられる制度でありつつも、現状では学部により「履修単位として認められない」「2年次までの必修授業と被って実質履修が不可能」「履修システムが不明瞭」「履修申請の際に、学務システム経由ではなく学生課を通す必要があるので手間がかかる」など問題点も見受けられ、一定の不評を買う制度でもある。
『東大推薦 合格の秘訣 Vol.01 2026』(東大カルペ・ディエム編、笠間書院)
特に、前期教養課程を学ぶ東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)と後期課程を学ぶ東京大学本郷キャンパス・弥生キャンパス(東京都文京区)は電車が必要な距離にあり、いくら交通の便が良い東京とはいえ、頻繁に移動するのは難しい。
具体的には、駒場キャンパスの最寄り駅(駒場東大前駅)から本郷キャンパスの最寄り駅(本郷三丁目・根津・東大前の3つがあるが、ここでは本郷三丁目)まで、乗り換えがスムーズにいったと仮定しても30~40分程度かかる。そのうえ、本郷キャンパスの最寄り駅はどれも大学から離れており、キャンパス内もそれなりに広いため、最寄り駅から10~20分かかることも珍しくない。
片道50分~1時間程度かかる道のりを、単位にもならない授業のために、駒場キャンパスでの友人との語らいやサークル活動などを犠牲にしつつ交通費をかけて通う学生は、そう多くない。一部の学部では、秋から始まるAセメスターになると、駒場キャンパスで出張授業が開講されるので、ここで早期履修制度を活用する学生が多いようだ。







