中にはパワーポイントやポスターを使用する学部(医学部・教育学部など)もあり、発表の構成力やプレゼンテーション能力も評価される。

 学部によって全く入試方法が異なることも「東大推薦」の特徴だ。

 東大の一般入試では、文科出願者は文系用の問題を、理科出願者は理系用の問題を解く。日本の最高難易度入試である「東大理Ⅲ」だが、問題自体は理系で共通なのだ。さらに、英語も文理共通であるし、国語や数学も一部共通問題が出題されるなど、一般入試は分け隔てのないふるい分けを行う。

 だが、推薦では口頭試問こそ共通するものの、プレゼンの有無、小論文試験の有無が異なる。それどころか、合格者の話を聞く限りでは、年度や人によって審査内容すらも変わるようだ。

 実際に、「基本的に英語力を測る質問がなされる」といわれる工学部推薦では、英語スピーチを要求されたケースもあるが、一方で留学や海外在住経験、国際学会でのプレゼン経験などをもってして代替されたのか、「英語力には一切触れられなかった」と答える合格者も複数存在した。

 また、基本的には英語力を一定要求される点では共通するように見えるが、文学部・教育学部・農学部など英語資格や語学能力を必須要件としない学部も存在することから、「求める学生像」は、東大の各学部によって、それぞれが独立した意思のもとで形作られていると思われる。

過去に積み上げた成果よりも
学生の「これから」に着目

 最終段階で実施される大学入学共通テストは、いわば「基礎学力の確認試験」である。募集要項にも明記されているように、目安は概ね8割前後の得点。この基準は、東大での学修に必要な最低限の理解力を測るものであり、一般入試のように9割以上を狙う必要はない。共通テストの結果は、あくまで「学力の土台を備えているかどうか」を判断する補助的な指標として扱われ、評価の中心は「活動の質」と「将来の学問的ビジョン」に置かれる。

 こうした3段階選抜を通して東京大学が見ているのは、「過去に何を成し遂げたか」よりも、「これから何を探究し、社会にどう貢献するか」という未来志向の姿勢。