この点で、今から25年以上も前の2000年に設立された介護保険制度は、急速な高齢化社会に備えて、国民に負担増を堂々と求めた画期的な政策でした。それまでは高齢者の介護は家族の責任であり、それが受けられない一部の老人のための福祉という制度でした。
この旧来の概念を抜本的に転換し、幅広く社会全体で高齢者介護の負担を担うために新しい介護保険を設立するという大胆な発想が、当時の厚生省から生まれました。これは、人々が介護サービスを購入できるための購買力を介護保険で保障するとともに、介護サービスの供給面を充実させるために、その担い手として、民間企業の参入を積極的に促進するという、「福祉の基礎構造改革」と一体的なものでした。
これに抵抗して取り残されたのが児童福祉の分野であり、未だに「子育ては家族の責任」であり、認可保育所の利用には、母親が就業するために、自ら保育ができないことの認定を受けなければならないという「児童福祉」の考え方が根強く残っています。
少子化対策が緊急の課題とされている現在、この介護保険の精神に立ち返って、子育ての費用を、家族の働き方にかかわらず社会全体で担い、そのための費用を負担することを訴える必要があります。
このためには、現行の介護保険の被保険者は40歳以上であり、20‐39歳層が空いていることから、この年齢層に介護保険料と同額の負担を求める「子ども保険」を設立し、両者を合わせて家族保険とすることが考えられます。
新たな独身税だと批判される?
「子ども保険」構想の是非
この「子ども保険」の構想に対しては、以下のような批判が予想されます。
第1は、子どもを持つことは保険の対象となるリスクではないという論理です。これに対しては、子どもを育てる家族の大きな負担を、子どもを持たない人々にも幅広く担ってもらうための手段と考えればよいだけです。
他方で、この保険ができれば、人々が大勢の子どもを持つことを誘発するモラルハザードとなるという見方もあります。しかし、他の社会保険と異なり、子ども保険を利用して子どもを持ちたいと考える家族が増えれば、それ自体が少子化対策になります。子ども保険は、モラルハザードが問題にならない稀有な社会保険といえます。







