黒田東彦が振り返る「初等・中等・高等教育」、小学校から大学院までそれぞれの段階で伸びるために重要な要素とは?Photo:PIXTA

卒業式シーズンとなり、新年度から新たなスタートを始める人も多いだろう。小学校、中学・高校、大学で伸びるためには何が必要なのか。前日本銀行総裁の黒田東彦氏が執筆するダイヤモンド・オンラインの連載『黒田東彦の世界と経済の読み解き方』の今回のテーマは、「教育の三段階」。初等・中等・高等教育での学びを有意義なものにするために重要な要素とは?

黒田東彦が教駒に入学できた
小学校で出会った2人の恩師

 教育には、小学校による初等教育、中学・高校による中等教育、大学・大学院による高等教育の三段階がある。その役割や方法には顕著な違いがあり、それぞれに、関心と興味を抱いて注目する必要があろう。

 私自身の経験を交えながら、初等・中等・高等教育での学びを実りあるものにするために必要な要素を考えてみたい。

 小学校の教育は、生徒の自我形成期であり、全人的な教育となる。そこでは、教師の役割が極めて大きい。

 私は小学校1年から4年まで、神戸市立本山第二小学校で学んだ(1951~55年)。特に、3年と4年の時に指導を受けた鈴木正二郎先生から、多大な影響を受けた。鈴木先生は、休日に生徒を仁川のピクニックに連れて行ったり、出身の神戸大学の学園祭に生徒を参加させたりしてくれた。

 また、数人の生徒ごとに自宅に呼んで、ゲームをさせたり、議論をさせたりした。こうした中で、宮城・塩釜の幼稚園を出て神戸にやってきた私は、活発な生徒になったと思う。

 さらに、小学校の5年と6年は、東京都世田谷区立多聞小学校に通い(55~57 年)、担任の山田豊子先生の指導を受けた。私の関西弁が直らず、生徒にからかわれたとき、生徒を注意するだけでなく、むしろ私に国語教科書の朗読をさせた。

 また、山田先生は東京教育大学(現筑波大学)で日本史を学ばれたせいか、授業の際、日本史について話すとともに、数人の生徒を自宅に呼び、補習をさせた。私が東京教育大学附属駒場中学校(「教駒」、現在の筑波大学附属駒場中・高等学校「筑駒」)に入学できたのも、この補習のおかげだと思う。

 鈴木先生や山田先生のような教育のやり方は、今の教師にはリスクが大き過ぎて、ためらわれるのかもしれない。しかし私は、両先生のおかげで、活発で勉学を楽しむ生徒になれたのだと信じており、私が社会人になった後も、両先生とは何度もお会いした。