約40年前の日本では
「狭い駐車場」でも不便じゃなかった!?

 意外かもしれませんが、その背景には、日本の税制の変化があります。

 1989年に消費税が導入されるまで、日本には「物品税」という税制が存在しました。貴金属や毛皮などの「ぜいたく品」に対して課せられるもので、乗用車も対象に含まれていました。

 日本の乗用車は、サイズや排気量に応じて「3ナンバー(普通乗用車)」「5ナンバー(小型乗用車)」「軽自動車」に分類されます。

 廃止直前の1988年の物品税率を見ると、普通乗用車が23.0%、小型自動車が18.5%、軽自動車が15.5%と、普通乗用車には突出して高い税金が課されていました。

 つまり、普通乗用車はクルマの中でも「特別なぜいたく品」という位置付けだったのです。そのため自動車メーカーは、庶民でも購入しやすい小型乗用車の開発に注力し、販売の主力としていました。

 ちなみに、道路運送車両法で小型乗用車は「全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下」かつ「ガソリン車の排気量2000cc以下」と定められています。サイズ・排気量のいずれかがこの基準を上回ると、普通乗用車に分類されます。

 こうした「サイズ別の格差」は、物品税とは別に課される「自動車税」でより顕著でした。現在の自動車税は排気量に応じて高くなる仕組みですが、当時はボディサイズで普通乗用車に分類されるだけで、同じ2000ccクラスでも倍以上の税額(小型乗用車:年額3万9500円/普通乗用車:年額8万1500円)になっていたのです。

 しかし、1989年の税制改正によって消費税が導入されると、物品税は廃止され、自動車税の格差も徐々に緩和されていきました。

 これにより普通乗用車の販売は、バブル景気の後押しもあって大きく活性化しました。その後もしばらくは小型乗用車の人気が根強く続いていましたが、2000~2010年代に入ると状況が変化します。

 安全性向上のためボディサイズの拡大が進み、室内の広いミニバンがファミリーカーの主役になったことで、普通乗用車の販売台数が小型乗用車を上回ったのです。