ほほ笑む飯尾和樹!地味な存在感でも「いてくれてよかった」と感じたワケ〈風、薫る第41回〉

飯尾和樹はなぜ、そこに?

 確かに、親しい人ほど当人のいままでと違うネガティブな側面を受け止めきれずしんどくなってしまうことってある。当人も遠慮がある。そこを代わりに受け止めてくれる人が看護婦なのかと思うと、大変な仕事である。リスペクトしたい。

 なあんてことを思って見ているうちに、手術は成功。

「あなたが、そばにいてくれたおかげで私、寂しくありませんでした」と千佳子はりんに感謝を述べる。

「庭の千草」が流れ、病室から外へ出て、風がざわざわ吹く音のなかで、うれし泣きするりん。

 バーンズ先生は患者に感謝を求めてはいけないと諌めていたが、やっぱり感謝されるのはうれしいものだろう。

 でも、りんはもう感謝されることで満足していなかった。手術中のフユ(猫背椿)の仕事ぶりを見て、その手際の良さに注目。「私もあんなふうになりたいなと、できるか分かんないけど。看護婦になりたいと思った。私のこの手を患者さんのために使いたいって」と、さらなる向上心をかきたてていた。

 りんのなかでは何かが着実に変わりはじめている。

「この仕事が好きと思った」と。看護婦の仕事がなんたるか、バーンズ先生、ひいてはナイチンゲールの考え方を体で理解し、それが彼女の性に合っていたのだろう。

 そんなふうに思えたのは、直美のおかげでもあると、りんはお礼を言う。

「私は何も」
「本当に何にもしてくれなかったけど、ふふ、いてくれてよかった」

 そんな話をしているちょっと離れた場所で、柴田(飯尾和樹)が黙々と大工仕事をしている。そしてりんたちの会話を聞いてかすかに微笑んでいる。たぶん、直美やりんやバーンズに頼まれたものを作っているのだろう。地味ながら、こうやって助けてくれている人もいる。この人も「いてくれてよかった」人なのだきっと。

 りんと直美が話している窓の向こうを歩いている人の影もあったりして。地味に誰かの気配を入れた今週の演出は『虎に翼』や『生理のおじさんとその娘』などの演出も手がけた橋本万葉さん。