問題行動がなくならず
特別支援学級に入ることに

 なぜ教室と教室の外で彼の態度が大きく変わったのか。私はこんなことを想像しました。

 彼にとっては、教室では周囲は敵。先生は自分を叱る存在。叱られると「どうせまた僕なんか……」と自暴自棄になるから、また表情が険しくなる。そんな構図です。

 校長室では他の先生たちも同席していました。そこで、校長先生がこんな様子を話してくれました。

「講師として来ていた、若い体育の先生にかなり厳しくされてきたんです。もともと中学校で教えていたその先生は、小学校3年生の子どもたちを指示、言葉だけで動かそうとする。だけど清水くんはそのとおりにできない。できないからいつも叱られる、というサイクルで……」

 翌年に彼と再会する機会がありました。同校での飛び込み授業では、彼の教室では授業をすることはなかったのですが、彼は別の教室で楽しそうに待っていてくれました。

 しかし、その後清水くんは違う小学校に転校しました。

 また教室で暴力を振るってしまったのです。シャープペンシルで相手の手を刺してしまったと聞きました。一度ではなく、それが続いていたと。相手の親が強く抗議していて、「これ以上くり返すなら訴訟問題にする」ということになり、学校を変えざるを得なくなったのです。行った先の学校では、ひとまずは学力的な点を考慮し、特別支援学級に入ったと聞きました。

 そこの女性の先生との相性がとてもよいようです。ソフトボールをやっていたので、野球好きの清水くんと話が合うのだと。

 翌2025年に、近くの学校で飛び込み授業をする機会があったので、彼のところを訪ねてみました。特別支援学級で取り組んでいる勉強のファイルを「頑張っている」と言いながら、一生懸命見せてくれたものです。

 清水くんの姿はとても微笑ましいものでしたが、その姿を見るにつけ特別支援学級について考えさせられました。彼が教室で自分の居場所を確保し、周囲とコミュニケーションがとれ、教室が安心できる場所なら、彼は通常学級でも学校生活を送れたのではないかということです。