トランプ政権が強硬手段で取締を進める背景には、米国の不法滞在者数の増加もある。米調査機関ピュー・リサーチ・センターの推計によると、不法滞在者は21年の約1050万人から23年には1400万人に急増し、バイデン政権下のこの2年間で過去最大の増加幅を記録した。強制退去が猶予されている亡命申請者や一時保護制度の対象者が増えたことが主な要因だという。

 ただ25年に入ってからは、トランプ政権による保護資格の停止や強制送還により、不法滞在者数は減少に転じている。

州兵が並ぶロサンゼルスで
「反トランプ」デモ

 トランプ政権は2025年5月、移民・関税執行局(ICE)に1日3000人の不法移民を逮捕するよう指示した。ICEがなりふり構わぬ摘発作戦に打って出たことで、全米各地に抗議活動が広がった。特に大きな反発を招いたのは、カリフォルニア州ロサンゼルスとその近郊で25年6月6日に行われた一斉摘発だった。捜査官は移民が仕事を求めて集まるホームセンターや衣料品卸売業者を急襲し、44人を逮捕した。抗議する人々の一部が暴徒化し、捜査官が閃光弾や催涙スプレーで制圧を試みるなど現場は混乱した。

 西海岸の最大都市ロサンゼルスは、人口の5割近くをヒスパニック、ラテン系が占め、ニューヨーク、シカゴなどと並ぶ移民に寛容な「聖域都市」だ。翌7日、トランプ大統領が抗議デモに対処するため、通常はカリフォルニア州知事の指揮下にある州兵2000人をロサンゼルスに派遣すると発表すると、「移民の街」には恐怖と怒りが広がった。

 市中心部では6月9日、摘発作戦に抗議して逮捕された労働組合指導者を支持する集会が開かれ、組合員ら約1000人が集結した。この日、トランプ政権は州兵の規模を4000人に倍増し、海兵隊約700人も派遣すると発表した。抗議集会の参加者は「トランプ・マスト・ゴー!」とトランプ氏に退陣を要求した。

 会場にいた教師のジェシー・アギラールさん(58)は「ICEは学校にも押し入り、善良で誠実で勤勉な人々を逮捕している」と非難した。