60代は、「増やすこと」に執着してきた思考から、「上手に使い切る」思考へと切り替える時期です。

 このスイッチが入ると、老後のお金は怖いものではなくなります。

 減ることが恐怖ではなく、「計画通りに使えている」という安心に変わっていくのです。

年金を増額させる方法がある!

 取り崩しにはルールが必要だ、という話はここまででなんとなくイメージできたと思います。

 でも、ここで必ず出てくるツッコミがありますよね。

「いやいや、そもそも年金だけで生活するのがキツいんだけど……」という話です。

 たしかにその通りです。

 老後資金がしっかりあって、年金もそこそこある人なら、計画的に取り崩していくこともできるでしょう。

 でも現実には、「年金だけだとギリギリ」という人も多いはずです。

 正直なところ、公的年金だけで“余裕たっぷり”の生活ができるかというと、そこまで甘くはありません。

 最低限の暮らしはできても、「豊か」と言えるかどうかは微妙なラインです。

 でも、ここがポイントです。

 60代の動き方次第で、その未来は変えられます。

 どうすればいいか。

 年金の受給額を増やせばいいのです。

「え? 年金って増やせるの?」と驚く人も多いでしょう。

 はい、増やせます。そして、これができるのは基本的に60代だけです。

 会社員の場合、方法は大きく2つあります。

 ひとつは、年金の繰下げ受給です。本来65歳から受け取る年金を、66歳、67歳…と遅らせることで、受給額を増やすことができます。

 もうひとつは、70歳まで厚生年金に加入して働くことです。働きながら厚生年金の保険料を払うことで、その分、将来の年金額が上乗せされます。

 また、自営業やフリーランスの人も方法はあります。年金の繰下げ受給に加えて、60歳以降に国民年金へ任意加入することもできますし、国民年金基金に加入して上乗せを作ることもできます。

 つまり、60代は「年金を受け取る準備期間」であると同時に、「年金を増やせる最後のチャンス」でもあるのです。

 そして、老後資金をいくら貯めるか、という発想も大事ですが、それと同じくらい、いやそれ以上に大事なのは「毎月の赤字を小さくすること」です。

 赤字が小さくなれば、必要な老後資金も少なくてすみます。赤字がゼロになれば、理論上は老後資金はなくても生活は回ります。