このわかりやすい例が旧日本軍だ。評論家の山本七平氏をはじめ多くの人々が証言しているが、旧日本軍では「員数合わせ」という組織の病が深刻化していた。これは「数字の辻褄を合わせる」ことが何よりも大切であって、そのためには多少のルール破り、倫理の欠いた行為をしてもいいという風潮があった。戦果を過大に国民にふれ回っていた「大本営発表」もこの組織の病が引き起こした。

 これにセブンもかかってしまっているのではないか、ということをこれまで筆者は繰り返し指摘させていただいており、2019年にはこんな「予言」もした。

「24時間営業」も「ドミナント戦略」も、フランチャイズ本部からすれば、データに裏打ちされた戦略なのだろう。しかし、人口減少が急速に進む中で現場の疲弊に耳を貸さず、盲信的にこれまでの戦略をつき進むというのは、戦局が悪化しているにもかかわらず、その現実から目を背けて、「員数合わせ」で特攻を命じていた日本軍の大本営と何も変わらない。

いくら王者・セブン-イレブンといえども、現場を無視した経営では、いずれ必ずしっぺ返しを食らう。(ダイヤモンド・オンライン『セブン「24時間営業」やめた店舗に非情通告で見える現場軽視のひずみ』 2019年2月21日)

 アイスコーヒー用のプラスチックカップのリサイクル費をよく確認しないで、12倍のカネを加盟店から徴収し続けるなんて問題が起きるのも、「現場を無視した経営」をしているからではないのか。

 2025年度、セブンイレブンの国内コンビニ事業は営業利益が5.8%の減少。ファミリーマートは17.9%増、ローソンが7.0%増と好調に推移していることから「ひとり負け」と言われる。

 天海祐希さん、櫻井翔さん、相葉雅紀さんというタレントパワーの強い3人を起用したテレビCMをはじめ広告宣伝費に443億円も投じたにもかかわらず、この渋い結果ということは、セブン成長の方程式である「ドミナント戦略」が通用しなくなってきているようにも思える。

 2021年2月末からの4年間で見ると、セブンイレブンは576店舗増えて、ローソンは218店舗増え、ファミマは395店舗減っている。そこに加えて、セブンは2030年度までに1000店舗の純増という中期計画を掲げている。

 阿久津知洋社長は「毎年、年間200店程度の純増は見えており、計画は十分実現可能」と語っているが、北九州市の人口よりも多い91万人が消えていくこの国で、コンビニだけは毎年200店舗ずつ増えていくというのは、どう考えても無理がないか。そのツケはすべて「現場の人間」にまわされる。

 ニデックを見てもわかるように「数字合わせ」に血眼になってしまうと、組織を蝕む病には気づかない。24時間営業問題の時のように、加盟店から「しっぺ返し」を喰らわないようにお気をつけていただきたい。