過去の不祥事が示す病巣
ガバナンス不全の深刻度
2019年7月、セブン‐イレブンが開始した新しいQRコード決済サービス「7pay」は、ずさんなセキュリティ設計を突かれてローンチ4日で約900人が不正アクセスされて、5500万円もの被害が発生。謝罪会見にあらわれた経営陣にセキュリティの基本的な理解がないことが露呈して批判が高まり、「7pay」は7月に実質停止、9月末には廃止に追い込まれた。
なぜこのような問題が起きたのか。競合に対抗するためのDX戦略を急いだあまり、二段階認証など基本的なセキュリティが軽視され、既存システムの連携もしっかりと検証をされなかったということもある。
また、組織が「縦割り」になって意思疎通や情報共有がちゃんとなされていなかったということも大きい.つまり、「ガバナンス不全」である。
そんな「7pay事件」がようやく人々の記憶から薄れかかっていた2019年12月、今回の「加盟店への12倍過大徴収」とよく似た不祥事が発覚する。
セブン本部は、加盟店が従業員に支払う給与計算を代行しているのだが、その中で休まずに出勤した場合などに支払われる「精勤手当」や、シフトリーダーなどの職務の責任に対しての「職責手当」についての割増率が誤っており、全国8129店の3万405人に未払いがあった。2012年3月から19年11月の支払い分で、金額は遅延損害金を含めて4億9000万円にものぼった。
セブン‐イレブン・ジャパンが公表した『店舗従業員様への給与支払い代行業務における「精勤手当」「職責手当」に対する残業手当の一部支払い不足について』より
ただ、これも「うっかり」で済まされる話ではない。実はセブンでは時給制の従業員に精勤手当や職責手当が反映されていないという状態が長く続いていて、2001年に加盟店が労働基準監督署から是正勧告を受けていた。
その事実を公表することなく、しれっと手当の計算式を変更していたのだが、その計算式の数値が誤っていて「未払い」が積み重なった(ダイヤモンド・オンライン 2019年12月11日)。
つまり、未払いの問題があることがわかっていたにもかかわらず、組織として本気で「再発防止」に取り組んでいなかったのだ。このような組織は企業危機管理の世界では「ガバナンス不全」と判断される。
今回発覚した「加盟店への12倍過大徴収」はまさしくこの2つの不祥事でセブン本部に激震が走っていたときにスタートした。つまり、根っこにある問題はこの2つと同じで「ガバナンス不全」がある。







